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前ページ次ページKNIGHT-ZERO Q6.ナイトライダーファンに女性は少ないですか? A6.少なくともこのスレでは多数派を形成しつつあります。問題ありません。 KARRになら何をされても構わないと豪語する猛者もいます。 2ch海外ドラマ板 ナイトライダースレッドのFAQより 夜明け前 朝露に濡れた芝生が沈みかけのふたつの月に照らされて銀色に光る、五つの塔に囲まれた庭 白い靄の中から、規則的な呼吸とリズミカルな足音、それに合わせて動く桃色の髪が近づいてくる トリスティン魔法学院の二年生ルイズ・フランソワーズは学院の庭を、朝早くからぐるぐると走っていた 基本的に夜明け前から朝食まで、そして授業が終わってから就寝する夜まで、時には深夜に及ぶまで 文字通り一日中KITTで走り回っていたルイズが自分の足で芝生を踏みしめ、単調な周回をしていた 自身を操るために不可欠な体力を養うべく、KITTがドライブの前に課した異世界の修行「ジョギング」 最初は庭をちょっと走っただけで息を荒げてブっ倒れ、運転禁止を申し渡すKITTを悪魔だと思った この苦行がKITTの居た異世界では都会人の娯楽であるという言葉をルイズは初め信じられなかったが それまで縁の無かった運動は成長期の体に馴染み、それはすぐにルイズにとってごく自然な日課となった スポーツウェアなど無いこの世界、ルイズは学院制服のブラウスとミニスカート姿で芝生の上を走っていた KITTの中で息づく水素核融合タービンのように力強い運動を繰り返す、ルイズの白くしなやかな両足 その腿には公爵令嬢として学院に入学した頃には無かった、まだ細いながらしっかりとした筋が通っていた ジョギングが終わると、早朝の庭で杖を構えて虚無魔法の訓練をする、武道の稽古のような動きと息遣い それはルイズが自主的に始めた事だった、それらの練習を終えた後、KITTとのお楽しみの時間が始まる ルイズは走っていた もうひとつの夜明け前 ハルケギニアの上空を浮遊する大陸アルビオンは、過日の戦乱による変化の時を迎えていた レコンキスタによる新政権の崩壊と彼らの離散、トリスティン、ガリア、ゲルマニアによる委任統治 本格的な総力戦の無きまま終わった戦争の戦後処理を話し合うべく各国の元首が港町リヴァプールで会談し 浮遊大陸の地理的にも文化的にも異なる三つの地域がそれぞれの国によって分割されることとなった 首都ロンディニウムや軍港、商業都市を抱え文化的、経済的に最も恵まれた大陸南部のスコットランド 大陸北部高地の広い面積を占め、肥沃な穀倉や農地と湖水魚の漁場、森林資源を抱えるイングランド 東部で酪農と酒造を行う敬虔で独立性の高い国民が、他の地域の干渉を拒み続けるアイルランド 戦後処理を話し合った結果、その三つの地域にそれぞれの国が総督と駐留軍を送り、占領を行う事となった 三つの占領国の中では最も高い軍事力と国力を持つゲルマニアがスコットランドの領有を出張し 農業立国を自認し、食料や工業材料の自給と輸出を国是とするガリアはイングランドを取った 他の二国に比較すれば小国に分類されるトリスティンはアイルランド地域の統治権を得る 人間より牛と羊の多いような田舎を押しつけられるアンリエッタの弱腰にルイズは嘆いたが KITTは「その地域は近い将来、世界を動かす人材を数多く輩出する事になります」と言った 政界や文壇で活躍するケルト人や、アメリカの公職者の多くを占めるアイルランド移民についての話を KITTは長々と語ろうとしたが、学校の退屈な授業の様な異世界の歴史話を嫌うルイズに早々に遮られた それはKITTが懸念していた地球テクノロジーの濫用への本能的な警戒感で、ルイズの不精でもあった 戦利品の略奪から始まり、本国への搾取を目的とした殖民を行うそれまでの占領とは異なった形の統治 それまでのアルビオンの国民はハルケギニア大陸の国々よりも前時代的な封権制度に甘んじてきたが 戦勝国からやってきて旧弊な貴族荘園を効率的な農業共同体に作り変える占領政策を概ね歓迎した それでも未だに残る身分制度や、山賊と変わらぬような地方領主から領地を奪うための武力行使など 地球の中世よりは進んだものながら、現在の地球の基準では人道的とはほど遠い占領だったが それはこの古くて新しい世界が得た、来るべき時代への移行を前にしたほんの少しの胎動だった ハルケギニアの国々を見下ろす島国、大陸から隔絶された地理条件故、文化的に遅れを取っていた国が 内乱で失われたいくつもの貴い犠牲と引き換えに、ハルケギニアで最も新しい実験国家として歩み始めた そして、国家と人間の動きの影に消えたレコンキスタの貴族達は、地下に潜伏し独自の活動を開始していた アルビオンは動いていた めまぐるしい春が終わり、季節は初夏になろうとしていた 王都トリスタニアから各地方へと伸びる馬車道路を、ルイズはKITTを駆り帰郷の途についていた 今回はルイズがしばしば行っていた無断欠席ではなく、学院から正式な休講の許可を得ている その数日前に実家から手紙が届いた、当主ヴァリエール卿の名で、至急帰られたし、と著された書面 ルイズは厳格な父と母を思い出して涙目になるもKITTの前で無理に虚勢を張る、膝は震えていた 「…ちょ…ちょうどわたしも言いたいことがあったのよ…わ、渡りに船って奴だわ…行ってやろうじゃない」 ルイズは実家に向けてKITTを走らせていた、KITTの故郷での制限速度を律儀に守っている 「いい?あんたはただの馬車、ちょっと不思議な魔法で動く馬車、決して喋ったりなんかしない馬車よ」 KITTは自身が嫌う「馬車」という呼び名を無神経に連呼するルイズに、珍しく鼻を鳴らす音を発する 「ルイズ、あなたが口を噤めというならば私はそうしましょう、しかし、もうバレてると思いますよ」 ルイズの使い魔であるKITTの性質を無闇に口外しないようにというアンリエッタ女王のお達しは あのタルブでの戦闘を目撃した兵士や村人のみならず、学院の生徒や職員にまで及んでいたが それはルイズとKITTの身の安全を守るためという名目で、その実彼女のKITTへの独占欲だった そして、決断力に富んだ清廉な元首として知られ始めた女王アンリエッタは、ツメが甘かった 使い魔品評会の後、それをサボって郵便屋の真似事をしたルイズにアンリエッタから個人的な感状が届いた 王室の便箋には流麗な筆跡でしたためられたKITTへのお礼と、ルイズやシエスタへの同様の感謝 よく似た文面ながら自分らへの礼はKITTへ綴った文の付け合せに見えたのは女の勘という奴だろうか 感状に添えられたアンリエッタ女王の直属女官としての辞令と、あらゆる権限を許可する身分証明書 タルブ戦以来なんとなく持ち続けてきた水のルビーと祈祷書も、正式にルイズの手元での保管が命じられた ルイズとKITTが真っ先に求めたのは、王宮の書庫に収められている全ての文献情報の開示だった 表から許可を求めるのも面倒だったので、ルイズはKITTの機能を駆使して勝手に頂戴することにした ルイズはまたしても授業をさぼって王宮に乗り込み、門衛に女王様の身分証明書を突きつけ下がらせると 王室所蔵の書物が収まっている巨大な「ミョズニトニルンの塔」に鼻先を向けてKITTを停車させる KITTはナイト財団が密輸摘発の為に開発した新世代のX線透視装置によるスキャナを起動させた 塔に向かって数分間X線スキャナを照射する、石壁を通し書棚を透過し、閉じたままの書物を取り込み KITTはミョズニトニルンの塔に収まっていた全ての王宮蔵書を自分のデータベースに収蔵し終えた 王宮を構成する建物は地球の土木建築に比して遅れていながら部分的に超越した技術で建てられていたが 土の魔法で建てられたそれらの建造物に比して異彩を放つ黒銀色の塔は人力で建築されたものではなくて はるか昔にとあるメイジが『使い魔』として召喚したものであるらしい、王宮に属する研究機関では この使い魔こそが始祖ブリミルの四人のしもべのうちの一つ、知を司る使徒だという仮説が建てられていた そのメイジが没した後もミョズニトニルンの塔は書物保管に理想的な内部空調を備えた便利な塔として 王宮の古文書から議事録や官吏名簿、下町の通俗小説までもが収納され、知の塔として生き続けている スキャナで蔵書と共に建物の走査をしたKITTは、その円柱が地球に存在するカーボンナノチューブに 極めて近い成分で形成されている事に気づいた、地球の宇宙開発を大幅に推進させるであろう素材の塔は 現在の地球では構想図の中にのみ存在する軌道エレベーターやシリンダー型コロニーに似た構造をしていた それよりKITTには、王宮訪問中にこちらを遠くから監視する平官吏の服を着た男のほうが気になった KITTが先刻収集した情報を早速駆使して骨格形状から認識した情報によると、彼の名はジュローム トリスティンきっての名門ヴァリエール家の執事で、内政情報を収集する役を負っているらしき男だった アンリエッタの勅命によりルイズとKITTに計られた便宜は、結局アンリエッタが秘することを望んだ ルイズとその使い魔の秘めた力についての情報を、一部の耳ざとい人間に少しづつ垂れ流す事となった 「ルイズ、"私達"の正体はバレてますよ、きっと」 実家差し回しの馬車ならヴァリエール領まで二日、領地に入ってから屋敷まで一日を費やすいつもの帰郷 KITTを飛ばせば3時間程で着く道中をルイズはゆっくりと走らせていた、上空を飛竜が追い越していく 原付バイク程の速度で一日を走り通し、宿を取るのも面倒だったのでKITTの中で一泊して、また走る アクセルは踏めるだけ踏むのが当たり前の操縦に慣れていたルイズにとって、最初はそれが苦痛だったが 実家のお膝元で目立つ真似はしたくない、それにゆっくり走らせるKITTも悪くないとも思い始めていた 領地の荘園を走りながら、こっちを指さして驚く者、貴族の酔狂と眉を顰める者の視線を楽しむルイズは 屋敷の敷地にほど近い、見渡す限りの平原にさしかかった、若い頃の父と母が武勇を磨いたという草地 平原の向こう側に見えた小さな人影、ズームカメラの画像と個人認識データを見たルイズの血の気が引いた 近づいていくにつれて肉眼でも見える、鋼の甲冑に身を包んだ騎士は平原に響き渡るような名乗りを上げる 「ルイズ・ラ・ヴァリエールの使い魔KITT!我が名は烈風のカリン、いざ尋常に勝負せよ!」 ルイズの母カリーヌ・デジレがそこに居た 名門ヴァリエール家の一人娘にして、王宮直属の最精鋭騎兵マンティコア隊の設立を成した伝説的騎士 幾多の戦場で、その殺戮の数よりも救った味方の数や敵を撤退させる策謀で勇名を馳せた烈風のカリン 桃色の髪を靡かせた甲冑のメイジは老いたマンティコアから降りた、全身から漂う迫力がKITTを圧する KITTは平原の中央、カリンと互いの姿が確かめられる位置で、ルイズに車体の停止を求めた ルイズやKITTの知る、通常のメイジが戦闘で取る間合いのほぼ10倍、大砲すら届かぬ距離 「ルイズ、降りて頂けますか?」 「KITT!何のつもり?もしも戦うっていうなら…当然わたしも一緒よ!」 「カリーヌ殿は私との勝負を希望しました、それは私をひとつの人格と認めて頂いてるということです 私にはそれに全力を以って答える義務があります・・・ルイズ、あなたを母君と戦わせるわけにはいかない」 「わかったわ、KITT……おねがい、わたしのお母さまを殺さないで……」 「ルイズ、私は決して人を傷つけません…私から降りたら500m、いえ1kmは離れていてください」 KITTは平原の中心で、琉球短槍のような杖を無造作に下げたルイズの母カリンと向かい合った ルイズが500m以上離れたのを確かめたKITTは放射状の土煙を上げ、カリンに向かって急発進した カリンは輪っかの形の雲を発てながら、フライ魔法による極めて高速な移動でKITTに突っ込んでいく 甲冑の重さなど感じさせない動き、低空で亜音速飛行するカリンはKITTに向かいながら杖を払った KITTとカリンがマッチを擦るように接近し離合する、高速でニアミスした二つの物体が発てる衝撃波は 700m離れた位置で双方を見守るルイズにまで届き、盾にしていた岩がカンカンと音をたてヒビ割れる KITTはルイズによって蓄積された走行データを存分に生かし、土埃の円幕を作りながらターンした カリンは競技水泳のクイック・ターンのように縦に回転して、空気の壁を蹴るような急加速で突進してくる KITTは分子結合殻が無傷であることを確めた、そして超音速で撃ちこまれた鋼の硬さを持つ氷の砕片も すれ違った瞬間に撃ちこまれた氷の魔法はタルブ戦で被弾したアルビオン軍の魔法攻撃など比べ物にならぬ KITTにとって未知の攻撃だった、戦艦の大砲を凌駕する質量の攻撃に人工知能は恐怖の感情を覚えた KITTはそれまで、魔法による攻撃の地球における近代兵器に対しての優位性を認めていなかった しかし、現在自らが対峙している強大な力は、KITTの記録にあるいかなる個人携行兵器をも上回った この一人のメイジが祖国アメリカの敵になったなら、原子力空母一隻程度では到底敵わないだろう カリンが再び杖を突き出した、KITTはミラーでその杖を弾く、カリンは飛んでいく杖に同調するように 体を飛ばし巧みにエネルギーを殺すと、そのまま頭上の杖を叩きつける、KITTはスピンして弾いた 半径数百mにも及ぶ範囲での一台の車と一人のメイジの速く激しく、美しくさえある剣戟はしばらく続き それは並のメイジには到底理解できぬタイミングで唐突に終わった、ルイズにもさっぱりわからなかった KITTはカリンの直前で止まる、鬢に一筋の汗を流したカリンは眉ひとつ動かさないまま杖を捨てた 「負けました、あなたは私が若き頃に目指し届かなかった『最強の不殺』をすでに成し遂げている」 ルイズは母カリンを助手席に乗せたまま、ヴァリエール家の屋敷までの緊張のドライブをしていた 異世界でKITTのお仲間を操る時に必須だという自動車免許などルイズは持っていなかったが 恐らくその免許を取るために課せられる試練と修行はこれに似たものなんだろうとルイズは思った 運転操作や目視確認、わたしが一度でもそれらをおろそかに行えば、きっと拳や蹴りや杖が飛んでくる カリンはといえば目新しい馬車での移動を楽しんでいた、そしてこの不思議な力を宿した馬車との会話も 「カリーヌ殿、貴殿の騎兵隊における活躍についての情報を王室の古い記録から拝見させて頂きました あえて付け加えさせて頂きます、あなたは私がこの世界に来て以来、最も敬愛を覚えた人物であると」 カリンは無表情のまま氷のひび割れるような声を発した、ルイズの心臓がまたドキンチョと跳ねる 「昔の私がどうであろうと、現在は老いた領主夫人に過ぎません、若さも強さも、過ぎ去りしものです」 助手席の上で足を組み、片肘をドアにもたれかけるカリーヌの桃色の髪は鈍く輝く甲冑との調和を描き 車窓を見つめる澄んだ鳶色の瞳といい、ルイズやその姉達が逆立ちしても敵わぬほどの色香を纏っていた 「機械である私に肉体の強さや外貌の老若はさほど意味を持ちません、ただ、その心に感銘を受けるのです」 顔を正面に向けたままKITTを操縦するルイズは、そっと横目で盗み見した母の姿に心底驚かされた、 それは生まれてこのかた一度も見た事の無かった物、厳格な母カリーヌが、烈風のカリンと呼ばれた騎士が 頬を赤らめていた 「KITT、夫ある身の女をからかうものではありません」 その後、ルイズは学院入寮以来数ヶ月ぶりに母カリーヌと父ヴァリエール卿と共に晩餐の食卓を囲んだ KITTがただの馬車であること、ヴァリエール卿にはその知能と人語の能力について黙ってる事を ルイズは母カリーヌとの密談で決めた、母が少女の悪戯のような真似を率先して行う様にまた驚かされた 数回の夕餉を重ねた頃、ルイズは帰郷の目的でありながら今まで言い出せなかった事を父と母に告げた 「お父さま、お母さま、わたくしはアルビオンに向かいます、わたしの成すべき事はそこにある」 カリーヌはルイズを横目で睨み、すぐに晩餐の肉料理に視線を戻すと、それを切る作業を再開した いつかルイズが邸の庭で汚い山猫を拾ってきた時からずっと、母が何かを許可する時の仕草は変わらない 威圧を覚える所作が逆にルイズを安心させる、最大の問題が解決して胸を撫で下ろすルイズは父の顔を見た ヴァリエール卿はといえば妻カリンの顔色を窺ってる、娘に許しを与えた母の顔を確かめると豪快に笑い オーバーアクションな身振りで成長した娘への感動と激励を表現した、ルイズは正直ちょっとウザかった 父であるヴァリエール卿もKITTの事を知っていた、執事ジュロームの収集した精度の高い情報を聞き タルブでの無血勝利やウェールズ皇太子との接触よりも、グラモン家の小童の『逮捕』に大喜びした 「ルイズ、お前一人なら私は牢に入れてでも止めただろう、しかし今のお前にはKITT君が居る」 どうやら父は晩餐の後でこっそりKITTを見に行き、言葉を交わし、ドライブまでもを楽しんだらしい ヴァリエール家が突然ルイズを呼びつけたのは、ルイズが使い魔として得たKITTを見定める為だった 後でルイズがKITTに聞いたところ、KITTはそれが地球の普遍定理であるかのように答えた 「スピードの出るクルマが嫌いな男子はそうそう居ません……ヴァリエール卿も男の子ですから」 翌朝に実家を出て、学院に戻る事を決めたルイズはその晩、子供の頃のように母と同じベッドで眠った いつも妻と同じ寝室で睦まじく眠りについているヴァリエール卿はといえば、またKITTと遊んでた 母の胸に抱かれながら「これが最後になるかもしれない」という言葉を飲みこむルイズの髪を カリーヌはルイズが幼い頃に好きだった子守唄を歌いながら、眠りにつくまで撫でつづけてくれた 「ルイズ、ルイズ、強く美しくなったルイズ、あなたはずっと、いつまでも、わたしの小さなルイズ」 前ページ次ページKNIGHT-ZERO
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「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」より花中島マサル コマンドー01:ゼロのマサル コマンドー02:昼食のマサル コマンドー03:決闘のマサル(1)
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放送枠 ヤミと帽子と本の旅人 コードギアス 反逆のルルーシュ 黒執事 デュラララ!! 黒執事Ⅱ アマガミSS 魔法少女まどか☆マギカ BLOOD-C 輪るピングドラム 妖狐×僕SS エウレカセブンAO K 僕は友達が少ないNEXT うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000% キルラキル 鬼灯の冷徹 シドニアの騎士 selector infected WIXOSS 黒執事 Book of Circus 蒼穹のファフナー EXODUS 1stシーズン 幸腹グラフィティ シドニアの騎士 第九惑星戦役
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前ページゼロと黒蛇 春の使い魔召喚 それは、ここトリステイン王国トリステイン魔法学院にて行われる神聖な儀式である。 それを行うのは2年生への進級を控えた魔法学院に通う生徒であり、この儀式によって己の使い魔を召喚し、専門課程へと進むのである。 そして、今一人の少女が使い魔召喚に挑んでいた。 トリステイン魔法学院近くの草原、ここで春の使い魔召喚は行われている。 すでに多くの学生が召喚を終え、使い魔との契約―コントラクト・サーヴァントも済ませていた。 そして、まだ召喚の終わらぬ生徒の周りに、半円を描くように立ち、全員が終えるのを待っている。 昼過ぎから始まった使い魔召喚の儀式であるが、日が傾く頃になっても、召喚を終えていない生徒が一人いた。 生徒達に囲まれているのは、桃色がかった髪と、透き通るような肌を持つ少女である。 彼女の名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 通称、「ゼロのルイズ」 全く魔法が使えない彼女は、現在22回目の召喚を失敗したところであった。 「……ケホッ」 ルイズは、自分の魔法の失敗によって起こった爆発の煙で咳き込んだ。 「また失敗かよ、ルイズ!」 「何度失敗したら、気が済むんだよ!」 周りの生徒達から野次が飛ぶ。 言い返してやりたいが、実際に召喚に失敗している以上何も言えない。 自分が彼らを待たせているのは確かなのだから… そんな悔しさから、ルイズは唇をかみ締めた。 「ミスタ・コルベール!ルイズは放っておいて、授業を終わりましょう!」 そんな声が生徒の中からあがった。 それは困る、とルイズは焦った。 なぜなら、この儀式は必修であり、これを無事に終えられなければ2年生に進級できないのだ。 もしも、留年ということになってしまえば、名門たる自分の実家から、何を言われるかわからない。 何か言われるだけならばまだいい。 おそらくそれだけでは済まず、恐ろしい母と姉にお仕置きされてしまうだろう。それだけはなんとしても避けたい事態であった。 ルイズは慌ててコルベールと呼ばれた男に振り返った。 コルベールは黒のローブをまとった、髪が薄い中年の男である。この場で唯一の教師であり、召喚の儀式を監督している身であった。 コルベールの判断によっては、ルイズの使い魔召喚は打ち切られ、留年ということになってしまう。 だからこそ、ルイズは不安と焦りが混じった目でコルベールに訴える。 だが、ルイズの心配は杞憂であった。 コルベールは芯から教師であり、自分から儀式を打ち切って生徒を留年などさせるつもりはなかった。 また、彼は、魔法が使えない分誰よりも努力しているルイズを高く評価している一人でもあった。 「ミス・ヴァリエール」 コルベールは不安を与えないように、なるべく優しい声で語りかける。 「心配することはない。納得するまで続けなさい。仮に時間がかかっても、生徒達を帰して、最後まで私が見ていよう」 その答えにルイズは安心する。 そして、そこまで言ってくれたコルベールのためにも、早く召喚を成功しなければならないと、改めて決意をした。 (次があると思っちゃだめよ……これで最後だと思ってやらなきゃ……) 召喚される使い魔とは、自分に最もふさわしい者が召喚に応じるという。 では、召喚できない自分はなんなのだろうか? どんな動物も幻獣も虫でさえも、自分の使い魔になんてなりたくないというのか? (そんなことない!きっと私にふさわしい使い魔がいるはず!) ルイズは願う。 (お願い!絶対大事にする!あなたにふさわしい主人になってみせる!だから応えて!) そして、自分の全精神力を費やすつもりで呪文を唱える。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!わが導きに答えなさい!」 ドン!! と、いつもと同じ爆発が起こる。 また、失敗か…と落ち込むルイズ。 しかし、今回の爆発は今までと違っていた。 爆発がおきたところには、いつものように抉られた地面ではなく、代わりに人が倒れていた。 「……人?」 自分の目が信じられず、ルイズは思わずつぶやいた。 使い魔召喚とは、基本的には動物や幻獣等が召喚されるものであり、他の生徒達の使い魔も例外なくそれらであった。 しかも、ルイズが召喚した人間は、ローブもマントも身につけていない―現代で言うところの、カットソーとジーンズを着ていた。 どう見ても平民の格好である。 爆発の衝撃で気絶しているのか、ピクリとも動かないが、背格好をみるとどうやら女性のようである。 ルイズが予想外の事態に立ち尽くしていると、周りから再度野次が飛んだ。 「おいおい!平民を召喚してどうするんだよ!」 「失敗するからって、金で雇ったんじゃないか!」 静かに、と野次を注意して、コルベールはルイズに歩み寄った。 「おめでとう、ミス・ヴァリエール。使い魔召喚は成功だ」 やっと努力が報われた生徒を慈しむように、ルイズに声をかける。 「で、でも!ミスタ・コルベール!あれはたぶん平民です!しかも、女性ですよ!」 「そのようだ。しかし、君は彼女と契約をしなくてはならない」 「平民が使い魔なんて聞いたことがありません!もう一回やり直させてください!」 しかし、その頼みにコルベールは残念そうに首を振った。 「それはできない。この召喚の儀式は神聖なものだ。例え何を召喚しようとも、やり直すことは認められない」 「そんな……」 「安心しなさい、ミス・ヴァリエール。使い魔は貴女に最もふさわしい者が召喚されます。今思うことは色々とあるかもしれませんが、きっとこの事を後悔はしないはずです」 「さぁ、コントラクト・サーヴァントを」とコルベールが促す。 コルベールにそこまで言われると、ルイズとしては反論ができない。 やり直しが認められない以上は、彼女と契約をしなければ留年となるため、ルイズに選択肢は無かった。 ルイズは、己が召喚した使い魔に歩み寄り、顔を覗き込んだ。 (うわ……この人、すごい美人) 呼び出された女性は、年は20代前半であろうか、黒く艶やかな長い髪を持つ、どこか冷たい雰囲気が感じられる美人であった。 目が閉じられているため瞳の色は見えないが、例え何色であったとしてもこの美貌を引き立てはしても、損なうことは無いだろう。 そんなことを考えているうちに、ルイズは気持ちが落ち着いてくるのを感じた。 あまりに、予想外の使い魔を召喚してしまったため取り乱してしまったが、今では自分が召喚した使い魔に納得していた。 なにしろ、生まれてから今まで魔法に成功したことがないのである。 「ゼロ」とさえ揶揄されている自分の召喚に応じてくれた使い魔に、感謝の気持ちさえ抱いていた。 例え平民だろうが、自分の召喚に応えてくれたのだから…… しかし、それでも、こう思わずにはいられなかった。 (私のファーストキスが女の人となんて……) せめて美人でよかった……などとよくわからないことを考えながら、杖を振りコントラクト・サーヴァントの呪文を唱える。 「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。5つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そして、杖を額の上に置き、口づけをした。 (さよなら、私の初めて……) などと、内心落ち込んでいると、ルイズの成功を喜んでいるのか、コルベールがうれしそうに話しかけてきた。 「おめでとう。ミス・ヴァリエール。コントラクト・サーヴァントは上手くいった様だね」 「はい」と、ルイズは答えた。 今になって、召喚に成功した喜びと、安心感が湧いてきていた。何はともあれ、これで進級はできるし、平民とはいえ、使い魔を持つことができるのだ。 「ルーンが刻まれたら、この人を起こさなければならないね」と、コルベールが、女性の顔を見ながら言った。 「特に外傷も無いから、そのうちに目が覚めるだろう」 「ミスタ・コルベール、使い魔のルーンはまだ刻まれないのですか?」ルイズが尋ねた。 「すぐに刻まれるはずだが……ほら、刻まれ始めた」と、コルベールは女性の左手の甲を指差した。 確かに、左手の甲にルーンが刻まれている。これで、後は女性が目を覚ませば全て解決となる。 すると……女性から「うっ」と声が上がり、うっすらと目を開けた。意外と切れ長の、翠の瞳をしている。 使い魔のルーンが刻まれるときには痛みを伴う。おそらく、そのショックで目が覚めたのであろう。 女性は、上半身を起こすと辺りを見回した。自分がどうしてここにいるのかわかっていない様子である。 そして、立ち上がり、最も近くにいたルイズに話しかける。 女性はだいぶ長身のため、自然とルイズを見下ろすような感じになった。 女性が何かを尋ねるように口を開こうとするが、 「はじめまして、ミス」 と、ルイズがそれより先に声をかける。 相手はおそらく平民である。 しかし、それでも、初対面の身分もわからぬ明らかに年上の同姓に、乱暴な態度を取るような教育をルイズは受けていなかった。 「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。どうぞお見知りおき下さい」と、スカートの裾をつまみ、恭しく礼をする。 自分の召喚に応じてくれた使い魔に感謝をこめて、せめて礼だけでも尽くしたいと思ったのだ。 それに対して、女性はあっけに取られたようであった。 しかし、それも一瞬。すぐに口元を手で隠し、フフフと妖艶に微笑んだ。 そして、表情を改め、ルイズに向かって言った。 「丁寧な挨拶痛み入る。聞きたいこと、言いたいことはいろいろあるが、名乗られたからには、こちらも名乗らなければならないだろう」 そして、姿勢をただし、まるで執事のように右手を胸に当てて礼をした 「はじめまして、人の子よ。私の名は、カサンドラ・ジル・ウォーロック。以後、見知りおきを願う」 前ページゼロと黒蛇
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in避難所(作品投下スレ) あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 2スレ目 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所 2ch本スレ あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part328 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part327 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part326 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part325 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part324 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part323 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part322 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part321 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part320 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part319 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part318 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part317 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part316 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part315 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part314 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part313 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part312 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part311 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part310 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part309 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part308 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part307 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part306 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part305 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part304 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part303 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part302 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part301 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part300 あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part299 あの作品のキャラがルイズに召喚されました part298 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前ページゼロの使い魔ももえサイズ はじめましての方、はじめまして。そうでない方、お久しぶりです。 僕の名前は節木です。なんか某スレで最初から斬られていたのではないかと邪推されていましたがそんな事は全然ありません。 突然ですが、この世界に召喚される前からももえさんの事を愛しています。 ももえさんがこの世界に召喚されてから、もっと恋しくなってこの世界へと追いかけてきました。…どうやって来たのかは聞かないでください。 この世界に来ても、愛用の双眼鏡を使ってももえさんの監視を行っております。 これは前にいた世界である方からの命令で、ももえさんの監視の任務を任されているからです。 ももえさんの環境の変化はすぐに現れました。なんと、ももえさんはルイズと呼ばれている少女の使い魔になり、彼女と一緒に行動しているのです。 あの押しが強いももえさんが簡単に使い魔という縛りに甘んじるとは思えません。これは何か弱みでも握られている。僕はそう確信しました。 「絶対、ももえさんをあのロリピンクの手から解放してみせる………!!!!」 今日も、僕は前の世界と同じように黒色の学ランに身を包み、愛用の双眼鏡で木の上から死神家の蔵にいるももえさんをしか…もとい監視していました。 「おっ………」 遠く離れていても、双眼鏡越しにももえさんの姿を確認することが出来ます。 倉庫の中にある窓からももえさんたちの姿を確認することが出来ました。 ももえさんは倉庫の中にある銃兵器に興味津々のご様子です。 さすがに細かな口の動きまではわかりませんが、隣にいるロリピンクが、ももえさんの言動に対していちいち大きなリアクションをとっているので何をしようとしているのかがなんとなくわかりました。 ももえさんはおもむろに銃を構えて窓の外に向けます。 そしてそれをこっちの方に向けて…………ってええええええ!? ひょっとして僕のことがばれているんですか? でも100メートル以上も離れたところから当たるわけないのはわかるけどでもそれでもちょっと恐 「そこで何をしている?」 うわあああああああ!!! いきなり誰かの声が下から聞こえてきたぁ!!!! それに驚いた僕はバランスを崩して頭から地面に落下していきました。 そして僕が、地面に落下した瞬間に頭上の木が爆音とともにおおきく破砕していくのが見えたのです。 「あわわわわわわわ…………」 頭を打って仰向けになった状態のままで破砕していくのを見ていた僕はただただ声にならない声を発しているだけでした。 「……大丈夫か?」 するとさっき僕を驚かせた人が僕を抱えて何も無い草原まで運んでくれました。木の欠片まみれになるよりずっとよかったし、何より僕の事を何も聞かずに運んでくれたのが幸いでした。 「さっきはすまなかったね。僕が声をかけたばっかりに君が木から落ちてしまって。」 「いえ………その、ありがとうございます。」 その状況になすがままだった僕も、ようやく口を開くことが出来ました。 「あなたは一体………?」 僕がそういうと彼は自らの名を名乗りました。 「私の名はワルド。」 彼は同性の僕から見てもいわゆるモテオーラを発散しているような色男でした。そして、その色男は自らの目的を口にしました。 「私は、婚約者を監視している。」 「かん………し?」 そろそろ月刊化?「ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水草鞋下級生ももえサイズ」 「いやー、試し撃ちって中々楽しいもんだねぇ。」 拳銃の先から吹き上がった煙を、ももえニヤついた表情を浮かべ、軽く息を吹きかけて消した。 「えええええっ!? っていうか今の何よ! すごい音がしたし、ガラスも粉々に割れちゃったじゃないのよ!」 いちはやくルイズはももえに対してツッコミを入れたが、居合わせていたキュルケは目が点になったままで粉々に割れたガラスをじっと見つめていた。 「私が…昔…使って…いたもの…です…。」 メイドのメイは小声でそう答えた。 「昔って………。」 「昔…は…昔………です…。」 ルイズは思わず周囲を見回してため息をついた。 ももえにスレイヴの自分にしか出来ないことだと言われて、キュルケとタバサを連れてノリノリでついていったのが馬鹿だった。 ももえとメイに連れてこられたは家の離れにある倉庫だった。 「蔵…等…と言い…ます……。ここ…に…は…この…世界…で…は見る…こと…が出来な…いものが…数…多く…存…在しま…す……。」 「クラナド………?」 そこでルイズたちが見たものは確かにこの世界では見ることが出来ないものばかりであった。 悪魔の干し肉・悪魔の干しパン・悪魔の干しぶどう……… 「なんで、食べ物ばっかり…しかも干してあるものばっかりじゃないのよ。」 ももえはその中の干し肉を取り出すとカマを使ってサクッと二等分にした。 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 「はっふぇ(だって)ふぉふぃてふぉふぁふぁいふぉ(干しておかないと)ふぅふぁふぅふぁん(腐るじゃん。)」 ルイズのぼやきにももえが干し肉を噛みながら返す。ルイズはため息をついて後ろを振り返ってみた。 すると、キュルケもタバサもまわりを見回して色々と探していた。 「悪魔の設定資料集・悪魔のアニメパーフェクトブック・悪魔の麻雀牌………。」 そのうちの麻雀牌に強い興味を示したタバサは、麻雀牌が入っている木箱を開けて手にとって転がし始めた。 「こっちは、悪魔のレーザー銃・悪魔のロケットランチャー・悪魔の黄金銃………って書かれてあるわね。」 ???もの知り館??? 黄金銃【おうごんじゅう】 元々は「007 黄金銃を持つ男」に登場する銃器のこと。 ゲームでは相手を一撃で倒すことが出来たため、対人戦ではよく取り合いになった。 キュルケはそれぞれに貼り付けられていた紙を読み上げていった。よくわからないがなんだか物騒なものだという事はなんとなくわかっていた。 「あっ、じゃあこれ貸して。」 そういってももえは黄金銃を箱の中から取り出した。そしてその感触を確かめながらゆっくりと銃を窓に向けた。 それを見たキュルケは思わず口をあんぐりとあけて目が点になる。ルイズは「あわわわわ」と訳のわからない言語を口走りながらももえを止めようとしたが、 「やややややめなさい! まさかあんたそれを 「はああああああああ!!!!!!」 「きゃあああああああ!!!!!!」 ももえの黄金銃から弾が発射された。音は小さく乾いた音しかしなかったのに、弾はガラスを粉々に砕き、遠くにあった大きな木の枝が破砕していくのがわかった。 「あわわわわわ………。」 ルイズは身体をがたがたと震わせた。銃を見たことは無くはないのだがあそこまで精度が高くて凶暴な武器を今まで見たことが無い。とてつもない恐怖を感じていたのだ。 「いやー、試し撃ちって中々楽しいもんだねぇ。」 拳銃の先から吹き上がった煙を、ももえニヤついた表情を浮かべながらは軽く息を吹きかけて消した。 そのころ、タバサはすぐそばにあった点棒に興味を示し始めていた。 「監視………ですか。」 「そうだ。私は愛する婚約者を監視している。」 僕はワルドさんと名乗ったその男の人とがっちり握手を交わしました。彼の手は男の人とは思えないほどとても綺麗だったと記憶しています。 「そうか………君の名前はフシキ。で、君も我の婚約者を監視しているのかね?」 ワルドさんに婚約者と言われて僕の顔はたちまち赤くなります。そして僕の妄想の中でももえさんが笑顔で僕を出迎えてくれる姿を想像します。そしてその薬指には婚約指輪が……… 「キャーッ!」 「!」 少し空気が気まずくなりました。よく覚えていないのですが、僕はワルドさんを驚かせるような気持ち悪い表情を浮かべていたようです。いや、どんな妄想なのかは一字一句 「…………。」 「………えー、こほん。いえ、婚約者というか。僕にとって彼女は大切な人です。僕は彼女無しでは生きていけません。」 途端に険しい表情になったワルドさんは重々しく頷きました。それに気づかない僕は更に続けます。 「だから僕は婚約者を越えた大切な人になりたいんです。彼女の大切な人になりたいんです!」 自分でも何を言っているのかはわかりません。何故このようになったのかもわかりません。ただ一ついえることは彼は婚約者で僕はただのストーカーだという事です。 「………そうか。」 僕の告白を聞いたワルドさんはにっこりと微笑んで僕の肩に手を置きました。 「ならば、俺はお前の敵だ。」 「えっ…ひいいいいいいいっ!!!!!」 僕の右肩がワルドさんの手の重みでどんどん下がっていくのがわかります。 そしていつのまにか左手に杖のようなものを手にしたワルドさんは口で小さく呪文を詠唱しました。 「遍在」 するとワルドさんの分身がびゅうびゅうと僕の周りをぐるぐると回り始めたのです。 「ところで、ルイズちゃんには男っているの?」 「えっ? なっ、何よ。藪からぼうに………。」 ももえがそんな質問を投げかけたのは倉庫の整理を終えてからのことだった。 キュルケは過呼吸気味にスーハースーハーと繰り返し、タバサは倉庫から持ち出した麻雀牌を手で転がしていた。 「ちょ…っと……貸し…て…下さ…い……。」 メイはタバサから麻雀牌を貸してもらうとそれをお手玉のように器用に飛ばしてみせる。それを見たキュルケとタバサから思わず歓声の声が上がった。 「何やってるのよあんたたち………。」 それを見たルイズが今日何度目かのため息をつく。ももえはルイズの肩をつかみしつこく質問をしてきた。 「で、男はいるの?」 「おっ、男っていうか……その………こっ、婚約者っていうか………小さいときに一緒に結婚しようと親が決めた人が………。」 「へぇ………。婚約者ねえ。」 ルイズは顔を真っ赤にしながらそう言った。一方、興味が薄れてきたももえは干し肉を口にしながら外の景色を見ていた。 「そんな奴に限って今頃ストーカーとかしてたりするんだよねぇ。」 「ストーカー?」 ルイズは首をかしげて見知らぬ単語を聞き返す。ももえは説明した。 「ストーカーっていうのはいろんな理由をつけて自分の後ろをついてまわる人のことを言うんだよ。」 「………犬のようなものかしら?」 「まぁ………そんな感じ。生意気な犬は猟銃で打ちのめさないと………。あっ、そういえば猟銃もあの蔵等の中にあるんだよね。」 そう言って、ももえはさっきまでいた倉庫を指差した。ちなみに倉庫の鍵は南京錠で軽く留められているだけである。 「じゃあその猟銃を私に貸しなさい。」 「いいよー」 ももえはそう言って倉庫の中へと戻っていった。使い魔の仕事を全うしているももえを見て思わずルイズは高笑いをする。 「ふふふ……ふふふふふ………あはははははははっははははは!!!! はぁ………。私も犬が欲しいなぁ………。」 ルイズは猫よりも犬が好きな少女だった。幼いころからふと思っていた小さな感情。 犬と戯れたい。犬にご奉仕させたい。かわいがりたい。痛めつけたい。ころs 「あーーーーーーーーっ!!!!!」 ???もの知り館??? かわいがり 相撲から派生した隠語で立場の上の者が新弟子等を「厳しい稽古」で痛めつけたりすること。 「愛の鞭」の名の下に暴力が行われて死亡事故にまで発展したものもある。 このかわいがりに耐えるためには丈夫さとそれに耐えうる強い信念。もしくは痛みを快楽に変える強い精神力が必要不可欠である。 「キャーーーーーーーッ!!!!!」 ももえが指差した先にはルイズが見たことも無いような服に身を包んだ男がいた。 周りにはルイズ達が可視できるほどの大きな風が渦巻いて男をぐるりと囲んでいた。それが男の恐怖感をあおるのか、男はただただ泣き叫んだ。 「行こう!」 「えっ、ちょっ、まっ、待ちなさいよぉ!」 ルイズは慌てて走り出したももえの後を追いかけていく。 すると数十メートル先で足を止めたももえはカマを取り出してそれを泣き叫ぶ男のほうへと投げつける。 「サイズラッガー!!」 ギュルギュルギュルと音を立てながらカマは男の方へと向かっていった。 「キャーーーーーーーッ!!!!!」 情けないことですが、完全にパニック状態に陥った僕は、ただ泣き叫ぶことしか出来ませんでした。 「む、あれは愛しのルイズではないか。あの馬鹿女と一緒にいる………。全く………。」 ワルドは遍在の中でそのような事をぶつぶつとつぶやきました。 しかし、その言葉を聞いて僕は叫ぶのをやめ、瞬時に冷静さを取り戻しました。 この男はとんでもない勘違いをしている。そして、こいつは僕の敵だと認識しました。 「……………な。」 「ん? 俺の威嚇にもう泣き喚かないのか………。では仕方が無い。お前に止めを… 「ももえさんの事を悪く言うなぁーーーーーっ!!!!!」 僕はさっき拾った細長い棒を構えて遍在の中に向かって突進していきました。 「たああああああああああっ!!!!!」 しかし、僕は気づきませんでした。 いつの間にか風が止まっていて、その代わりにカマの音が僕のほうへと近づいていることに ギュルギュルギュル………ずがばっ 「ティアーーーーーーーーーーッ!!!!!!」 ???もの知り館??? ティアナ=ランスター アニメ「リリカルなのはStrikerS」の登場人物。 模擬戦で楯突いたためになのはさんにかわいがりを受けた人。同僚の女の子といい雰囲気になったりする。 ちなみに筆者はリリカルなのはの本編は1期すら見た事がないので細かいところを突っ込みたい方は要注意 僕の細長い棒が真っ二つに斬れてしまったのです。しかもさっきまでいたあの男はいつの間にか消えていたのです。 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 「大丈夫!?」 そう言いながら駆け寄ってきたのはロリピンクの方でした。 ももえさんも遅れて駆け寄ってきてくれます。でも僕はももえさんのストーカー………ももえさんに顔を見られるわけにはいかないのです! 「さよならっ!!!!」 僕はそう言い捨てて、森のほうへと逃げ込んでいきます。しかしロリピンクは僕を逃がしてくれませんでした。 ずがぁぁぁん 「キャーーーーーッ!!!!!!」 ロリピンクは猟銃で僕めがけて撃ってきたのでした。幸いにも弾は外れて僕には当たらなかったのですが 「待ちなさい。」 僕は恐る恐る振り返ってみると、猟銃を僕の頭に突きつけたロリピンクが居ました。 「人の敷地に入って謝罪の一言もなしに逃げるとはどういうつもりなのかしら?」 「えっ、えっと………ここってももえさんの家の敷地じゃあ……」 「うるさいうるさいうるさい! 使い魔のものは私のもの! 使い魔の敷地は私の敷地よ!」 ロリピンクの持つ猟銃にも力がこもります。恐怖に打ちのめされた僕は彼女の機嫌を損なわないよう恐る恐る聞いてみました。 「僕は何をすれば……… 「そうね………私のストーカーになりなさい! 私に徹底的にぶちのめされなさい!」 「え」 騒ぎを聞いていろんな人が駆けつけてきましたが皆呆然としている様子です。 ももえさんもこの様子には呆れてものも言えない模様で………ってこんなみっともない僕の姿はももえさんに見られたら幻滅されてしまう!! 僕は思わず目をつぶりました。 「……ねえキュルケちゃん。こいつはあんたの知り合い?」 「いいえ、ぜんぜん知らない男だわ。」 覚えられてねぇーーーーーっ!!! 前の世界では僕と同じクラスメイトだったのに!!!!! そして今度は不意に空に向けられた猟銃がまた火を噴きました。 「うわあああああああああん!!!!!」 「あっ、暴発しちゃった。」 ロリピンクの関心はストーカーではなくて目の前にある猟銃に向けられたようです。 僕は必死になって息を切らしながら、森の中へと逃げ込みました。途中、目から汗がぽろぽろと流れ落ちるのがわかりました。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 僕が森の中で休もうとしたその瞬間。ワームのようなものが僕めがけて襲ってきたのです! 「キャーーーーーーーッ!!!!!!!」 「キャーーーーーーーッ!!!!!!! 何これ何これ何これぇええええええ!!!!」 「ルイズ! 何あんた危ないことしてるのよ! 当たったら死ぬじゃない!」 ルイズは空に向かって暴発し続ける猟銃を持ってあたふたしていた。 キュルケはルイズにあたふたとしながら逃げようとしている。タバサは既にレビテーションを使って避難している。 「もーっ。しょうがないなぁ」 ももえはカマを一振りすると猟銃は真っ二つに斬られ、暴発は治まったのであった。 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 「あっ、ありがと………。」 「まー、これも使い魔の役目のうちのひとつだからねー」 ももえにそう言われると少し顔を赤くしたルイズはおもわず早口でまくし立てる。 「あああ、当たり前じゃない! 主人が使い魔の労をねぎらうなんて、きっ、基本中の基本なんだから!」 「はいはい。ま、たまにはこういうのも悪くないけどね。」 そう言ってももえは歩いて家に戻っていく。それを見た三人も家の中に戻ることにした。 「あのさ、キュルケ」 「なに? ルイズ。」 「私達何か色々なことを忘れてない?」 「さぁ………。」 こうして時間は刻一刻と過ぎていったのである。その時間の中である人物が動き出していることにまだ二人は気づいていなかった。 ※おわり これまでのご愛読 ご支援ありがとうございました ※次回からはじまる「ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水草鞋干し肉細長い棒悪魔の猟銃下級生ももえサイズ」に乞うご期待! 前ページゼロの使い魔ももえサイズ
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前ページ次ページBullet Servants 「ま、ま、まったく……何が『外でお待ちしております』よ!? せっかくの朝食を手短に切り上げて、いざ食堂から出てみれば廊下には居やしないし! 焦って外に出てみれば、他の生徒とひと悶着起こしてるし……執事が聞いてあきれるわよ!」 「……申し訳ありません」 ……ただただ、平謝りする。 実に遺憾ではあるが、事実だけ見ればまるきり彼女の言うとおりであるだけに、こちらに反論の余地などない。 しかし、先刻のタバサ嬢のあの発言は―――― 「……ちょっと! なによ、さっきっから生返事ばっかりして! ちゃんと聞いてるの!?」 「あ、も、申し訳ありません! ただ……」 「なによ、なんか言いたいことでもあるの?」 言い淀む私に、ルイズ様がいかにも不機嫌そうに応じる。 文句でもあるのかと言いたげな様子だったが――ここは彼女の発言に甘えさせてもらおう。 「ではお言葉に甘えて―― 一つ、お伺いします。 ルイズ様、ドラゴニュートと言う種族をご存知ですか?」 「ドラゴ……ニュート? 聞いたことのない種族ね……。 それって一体どんな生き物なの? モンスター?」 「いえ、モンスターではありません。 エルフやドワーフ、或いはメドラビットやそれ以外の――いわゆる亜人種の一つなのですが」 「……亜人? それって例えばあんたたちエルフ以外だと――オーク鬼とかコボルドとか翼人とか、ゴブリン鬼みたいな?」 不意に投げかけられた私の問いに、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしつつ答えるルイズ様。 確かに『聞いたことがない』とは言ったが――この世界のエルフや先刻のバジリスクのように、単に常識のズレで知らないだけかもしれない。 ……オークやゴブリンに『鬼』をつけて呼ぶのも、或いはそれが理由だったりするのだろうか。 その辺の事情もいつか聞いておきたいところだが――その欲求を横に置きつつ、会話を続ける。 「……ええ。まぁ、種族としての身体的特徴や容姿、それに知能なども私やルイズ様となんら変わらない、人類の水準レベルなのですが」 「なによそれ? 聞いてる限りじゃぜんぜん亜人っぽくないじゃない。 いったいどこが人間と違うっていうのよ? その……ドラゴニュートとかいう種族は」 「ええ、そこが先刻の――タバサ様、でしたか。 彼女やその使い魔と、お話をすることになった理由のひとつなのですが」 「……へ? どういうこと?」 突然話題が、この会話の発端になったあの青い髪の少女達に向けられ、首を傾げるルイズ様。 「そのドラゴニュートという種族の、人間との最大の相違点ですが…… 彼らは生まれたときから竜の力をその身に宿し、竜に変身する事のできる種族なのです。だから私は――」 「い……いや、待ちなさいよ!」 「え?」 唐突に上がるルイズ様の驚きと制止の声に、話の腰が折れる。 今度は私が、豆鉄砲を食らった鳩になる番だった。 「あの、ルイズ様……どうなさいました?」 「いや、今あんたの言ってたその、ドラゴニュートとか言う種族のこと考えてたんだけど……! そ、それって……韻竜じゃないの!?」 「……いん、りゅう?」 不意に飛び出してきた初めて聞く言語に、首をかしげる。 ゴルトロックの竜人種のことを説明した矢先に、ハルケギニアの住人から出てきた名称―― もしやと思ったその矢先、横からルダも口を出す。 「また耳慣れない単語が出てきたわね……で、そのインリュウっていうのは何かしら?」 「はぁ!? エルフなのに韻竜のことも――って、そもそもあんたたちハルケギニアの外から来たんだっけ」 頭をぽりぽり掻きつつ、ため息をついて、説明に入るルイズ様。 「韻竜っていうのは、古代種の竜のことよ。 知能が高く、人の言葉を操るほど言語感覚に優れ、先住魔法すら操る、伝説の種族のひとつ。 あんたたちの言うその『ドラゴニュート』って言う種族が、本当にそんな力を持ってるなら―― 先住魔法なら人間に姿を変えられてもおかしくないから、もしかしたら、って思ったんだけど」 「……そうなのですか」 伝説の古代竜……我々の世界で言うところの、普通のドラゴンと“古き竜(ファーヴニル)”のような違いまであるのか。 確かに彼女のそばにいたあの竜はゴルトロックの平均的な竜よりかなり大きかったが、頷けない話ではないと思った。 それに先住魔法というものも――どうもいままでに聞いた限りでは、ゴルトロックでいう所の一般的な魔法というより リザードマンの“原初の姿(プライマル・スタイル)”やドラゴニュートの変身能力のように、種族の特殊能力に近いものなのかもしれない。 「で、それがどうして、あの子の使い魔に繋がるわけ?」 「いえ、彼女が連れていた使い魔がドラゴニュートであるのなら――同じ使い魔同士、何か得る物がないかと思いまして」 「……はぁ? 何言ってるのあんた? まさかあの子の連れてた竜が、韻竜じゃないかって言いたいわけ?」 ルイズ様の素っ頓狂な答えに、また頭上に『?』マークの浮上を余儀なくされる。 疑問に固まる私の代わりに、ルダがルイズ様に聞き返す。 「……どういうことかしら、お嬢ちゃん?」 「またあんたか……ほんと、拳銃のくせに生意気ね。 キュルケが言ってたタバサってのが、さっきの青い髪の子で間違いないってなら、あの子の竜は普通の風竜のはずよ? それに――韻竜は既に絶滅して久しいとも言われてるわ。ありえないわよ」 「……絶滅? じゃああの蒼いドラゴンは一体なんだっていうのよ? “絶滅してるはずの存在”が普通に召喚されて、あの場所に存在してるのに――貴女は貴女で驚いてる様子もなかったじゃない」 「はぁ? 何言ってるのあんた?」 ルイズ様の返答に怪訝な声を返すルダと、そんな彼女の態度に首をかしげるルイズ様。 どうも我々の間で、話……というか、認識がかみ合ってないようだ。 その軽い困惑の渦中にある存在、あの蒼い竜に思いをはせ――――そこで、ふと先程の出来事を思い出す。 ドラゴンを使い魔として従えていた、少女の言を。 『そもそもドラゴンは普通、竜以外の姿になったりなんかしないし、人の言葉をしゃべったりもしない』 彼女の言葉には、ルダも嘘をついている様子がないと言っていた。 だとすれば―― 「ルダ。どうやらここにも、この世界とゴルトロックの違いがあったようです」 「……どういうこと?」 訝しむルダの言葉に、ルイズ様に向き直り再度問う。 「ルイズ様、ここでもう一つ確認させていただきたいのですが」 「……さっきから質問ばっかね、あんたら。 で、今度は一体なに?」 「つまりこのハルケギニアに生息する竜は、喋る事もできなければ人の姿をとって生活することもない、モンスターの一種。 それが出来る竜もいたかもしれないが、そうした種は既に絶滅している――そういうことで、よろしいですね?」 「ええ、それがどうか――――って、ああ、なるほど。 あんたたち、ひょっとして……」 「恐らくは、ルイズ様のご想像の通りかと」 ――つまりは。 『ドラゴン』という存在についても、ゴルトロックとハルケギニアでは、常識が大きく異なっていたということだろう。 我々の常識――ゴルトロックにおける竜という存在は、 須らく『ドラゴニュートが変身する太古の幻獣の姿』であり、その変身の元となった始原の竜は、既に地上のどこにも存在しない。 故に、『竜=ドラゴニュート』というのが、世界一般の常識だったのだ。 これは、ノーライフキングが八英雄に討ち倒されるよりもさらに前―― 遥か昔からの一般常識であったため、ルダにも想像が及ばなかったのも無理はない。 かたやハルケギニアにおける、竜に関する常識は――先刻のやり取りの通りである。 この世界の住人たるルイズ様の言う事だけに、ほぼ間違いはあるまい。 「にしても、いくらこのハルケギニア大陸の外から来たとはいえ……そんな勘違いするなんて想像も出来ないわよ。 あんたたちの来た『ゴルトロック』って……いったいどんな場所なのかしら、ホント」 またしても呆れたようなジト目で、こちらを見つめる桃髪の少女。 知らぬとはいえまた道化芝居を演じてしまったことに、ただただ青息吐息である。 「……恐縮の至りです」 ただ、それと同時に……今の話で、この世界においても竜人種という概念は存在するものの―― それがとても、一般的なものとは呼べない存在であることを悟った。これは一応の収穫と呼んでもいいだろうか。 あの蒼い竜がゴルトロックから召喚された可能性は、結局怪しいままになってしまったが…… そこはまた、あの青髪の少女たちに確かめる機会もあるだろう。 「いくらなんでも、そんなにホイホイ伝説の韻竜がいてたまるもんですか……って、あ」 「どうなさいました?」 「もうそろそろ授業の時間だわ……さっさと教室に移動するわよ! ついてきなさい!」 言うが早いか、石造りの建物に向かって駆け出すルイズ様。 流石にここでじっとしているわけにも行くまい。 私もやや遅れて、授業に向かうかりそめの主の後を、追走することにした――――。 「……ぜぇ、ぜぇ……っ! で、どうして、あんな距離を……全速力で、走ってたのに、あんたはやっぱり、平然としてるのよ……!?」 広大な学園の敷地内を駆け抜けること―― 十分弱。 生徒たちが三々五々入っていく教室――その扉から少し離れたところで、呼吸を整えるルイズ様と問答する。 「執事ですので」 「いやそれ違う! 絶対答え方間違ってるから! エルフってのはみんなこうなの……!?」 「とは仰られましても、本当にこれしか答え様がございませんので……」 ――執事たる者、主を前に醜態を晒す事なかれ。 フォルテンマイヤー家先代執事、オリヴァー・レングランスの言を借りるまでもなく、この程度は執事にとって当然のことである。 執事とは主を、その傍らで、ありとあらゆる害悪から護り抜く存在―― たかだか十分やそこらの、しかもただの少女の全力疾走についていく程度で息を乱している輩には、執事を名乗る資格などあろうはずもない。 ましてそれが主であった場合――例え彼我の種族が何であろうと、“その体力差を言い訳にする”など、もっての外である。 「嘘だわ、ぜったい嘘だ……」 「……それはともかくとして、ルイズ様」 「ん? 何よ?」 げんなりとした表情ながらも、ようやく平静を取り戻したルイズ様に声を掛ける。 朝の一件もあって、無視することは難しい要件だ。 「よろしいのですか? その――私を伴って、教室にお入りになってしまっても」 「……いいのよ。あんたはわたしの使い魔じゃない」 「ですが、先刻の食堂の件もありますし――」 「あ、あ、あのときはちょうど、始祖ブリミルに祈りを捧げる場だったからよ! エルフって種族は、始祖ブリミルの敵対者だし……。 で、でも――見てみなさいよ、あれ」 「あれ?」 ルイズ様が指差す方向――生徒たちがぞろぞろ入っていく、教室の入り口に目をやる。 見るとそこには――食堂では見ることのなかった存在たちが、少年少女の傍らや後ろ、或いは頭上に付き従っていた。 私と同じく、見習いの魔法使い達に召喚され、従順に従う動物や怪物たち―― 「ほら、みんな使い魔連れて入ってるでしょう? だったらわたしが、使い魔のあんたを連れて入れない理由がどこにあるってのよ」 「ですが、やはりハーフエルフの私が居ては――」 「……うるさいわね! あんたは確かにハーフエルフかもしれないけど、それ以前にわたしの使い魔なんだから! ご主人さまがいいって言ってるんだから、余計な事考えなくたっていいの!」 「ルイズ様……」 「ほら、行くわよ!?」 先刻の一件の影響もあったのだろうか、少々ムキになったような口調で、私の手をつかんで入室するルイズ様。 少々面映いものを感じつつ、その引く手に従い、後に続く。 朝の食堂のように、奇異や好奇や怖れや嫌悪が入り混じった視線がこちらに届くが―― その近付いただけでざっと割れる人垣の中を、ふんっ、とでも言うような表情で、桃色の髪の少女が大股で歩いていく。 教室に詰める生徒の人数は、多かったとはいえ、そうした事情もあり―― (幸か不幸かは解釈に困るところだが)悠々と、“相席のない”長机に着くことに成功する。 「……見ろよ、ゼロのルイズだ……」 「……使い魔がまともに召喚できないからって、執事連れてくるのはないだろ……」 「……バカ、エルフ召喚したって噂になってたの知らないのかよ……!」 「……ちょっと、あれ冗談抜きにエルフなの……!? あの“ゼロ”のルイズが……?」 「……俺、間近で見たぜ。確かにあの耳、ちょっと長くて尖ってた……!」 「……どっちにしろ、ロクでもない組み合わせの予感が……」 「くわばらくわばら……!」 辺りの無遠慮な喧騒の中、ぽつりと、ルダがため息をつく。 「…………やれやれ、ね」 「…………ふん」 周囲を取り巻く生徒たちの視線やざわめきの多くは、無論私に向けられたものだが…… 私ではなく、ルイズ様の名前のみが出てくるものも、少なからず聞き取れた。 ルイズ様はそのいずれも、努めて無視するように振舞っているが―――― 「あらま、随分と空いてるわね~。 お隣、よろしくて?」 「――ッ!」 聞き覚えのある弾むような声に、はじかれたようにそちらに向き直るルイズ様。 一瞬遅れて、私もその方向に顔を向けると―― 「あなたは……」 「はぁい、ミスタ。 ご機嫌はいかがかしら?」 「キュルケ……!」 明るい挨拶をする娘の声と、それとは対照的に苦々しげな少女の呟き。 朝にルイズ様の部屋の前で出くわした、サラマンダーを従えた少女。 小麦色の肌に燃えるような赤髪をした、あの長身の娘が、こちらにひらひらと手を振っていた。 「え、ええ……まぁ、おおむね良好です。 ツェルプストー様――――で、宜しかったでしょうか」 「そんな他人行儀なの、いやぁん。キュルケって呼んでちょうだい、エルフの殿方?」 「……私のこともリックで結構です。で、その……少し近過ぎる気がするのですが」 「そんな距離、あたしと貴方との出会いに比べれば……些細なことじゃないかしら?」 「いや、その……」 その見事なプロポーションの肢体をくねらせ、シナを作りつつ、私の立つ位置の真隣の椅子に腰を下ろす少女。 ちょうど、私を挟んでルイズ様の反対側にいる形だ。 擦り寄ろうとするその身から微妙に距離をとりつつ、返答に窮していると―― 「朝っぱらから暑っ苦しいわね、お熱のキュルケ」 こちらに――私と、その腕に身を寄せようと擦り寄ってくるキュルケ嬢に険悪な目つきを向ける、契約主の少女の一声。 「『微熱』よ、『微熱』! 誰かしら、そんなお馬鹿なこと言ってるの――って。 ……あら、その誰かってゼロのルイズじゃない。居たんだ」 「『居たんだ』じゃないでしょ、『居たんだ』じゃ! ……何しに来たのよ」 「授業受けに」 「……席はここ以外にもたくさんあるでしょうが」 「だってここ、特に空いてたんだもの」 「ぬけぬけとよくもまぁ……だったらせめて、もっと端っこに座りなさいよ。広いんだから」 「やーよ。この机にしたってあんたのでもなんでもない、学院の共有財産でしょ? 文句言われる筋合いはないわ。 それにー……あんたには勿体無いくらいにいい男もいるし?」 「………~~~~~~ッ!!」 「……どうしたものでしょうか」 「いや、そこで私に振られても困るんだけど。 それにしても、随分と仲がおよろしいことで」 「……そうですね」 ……喧々諤々と口喧嘩を続ける、ルイズ様とキュルケ嬢。 口を挟もうにも挟めず、ただただあっけに取られながらも、二人のすぐ後ろでその光景を眺める私とルダ。 「か、か、勝手に……わたしの使い魔に近付かないでくれる?」 そんな我々を余所に、二人の言葉の応酬はなおも続く。 その光景をぼんやりと見ながら――ルダの言葉(尤も、彼女のはただの皮肉かもしれないが)に、私は心中で頷けるものを感じていた。 ある種、既視感、とも呼べる感覚とともに。 そう思った理由は――この教室内における、我々の今の現状である。 「なによ、恋愛は個人の自由でしょ?」 「あのね、こいつはわたしの使い魔なのよ!?」 この机には、教室に入ってきたときから――私とルイズ様以外、誰も座ろうとしない。 それ以外の者は、近付こうともせず、腫れ物に触るような態度で遠巻きに意識しているだけだ。 「知ってる、お堅いヴァリエール? 恋愛には資格なんて存在しないのよ?」 「無節操野放図のツェルプストー……そうやって何度ヴァリエール家の人間に手ぇ出してきたと思ってるのよ……!」 聖導評議会の信徒ばりに忌避されている『エルフ』である私と、 学友とはいえ、それを背後に従えている少女に対する反応としては……概ね妥当なところであろう。 だが―― 「でも彼、エルフでしょ? だったら、『人間』じゃないから無問題よねぇ?」 このキュルケ・ツェルプストーという娘は、そんな我々の周りに存在していた『溝』など全くお構いなしに、 あっけらかんと同じ机に――近しい距離にまで踏み込んで見せたのだ。 初対面のときに見せた、私に対する“微妙な”評価もそうだが――――あまり彼女は、色眼鏡で相手を見ない性格なのだろうか。 その点はある種、美徳といえるかもしれない。 「それ以前に、わ・た・し・の・使い魔っ!! 勝手なことしないでちょうだい!」 「相も変わらず独占欲と変なプライドだけは一人前ね。『ゼロ』のくせに」 「……きぃーっ!! また言ったわね、おつむの栄養が全部胸に行ってそうな万年発情期女!」 そして何より……見るからに気難しくて人付き合いの不器用そうな、この契約主の少女に対しても―― 全く遠慮も気後れもすることなく、こうして楽しげにちょっかいや口喧嘩をしてみせるあたり。 どこか、私の育ての親であるエルフの大魔法使いか、姉貴分たるメドラビットのメイド長を思い出させた。 「ふん、恋愛の経験も人生経験も『ゼロ』級にうっすいお子ちゃまに言われたかないわよー。あ、ついでに胸もか」 「こ、こ、こ、この、気品や恥じらいどっかに置き忘れたような、破廉恥の分際で……!」 (そういえばこの二人の喧嘩……どこかキャロルと雪さんのやり合いに似てるなぁ) お互い言い争う内容は、低レベルな罵倒ばかりだが……本当に嫌悪や憎悪を抱いているなら、そもそも近付こうとすらするまい。 こうしてガンつけと毒舌をぶつけ合ってはいるものの、実は結構仲がいいのかも―― 「……物思いにふけってるところ悪いんだけど、リック」 そこまで考えていたところで、相棒の魔銃の声に思索が中断される。 「どうしました、ルダ?」 「アレ、そろそろどうにかしない?」 「……?」 我に返ったところで、目の前の光景に意識を戻すと―――― 「く、くくくくく、くっ、くく…………クケ――――――――――――――――ッ!!(闘鶏の威嚇っぽく)」 「ふしゃ―――――、しゃ―――――――――……! ちろちろちろちろちろちろ(毒蛇の威嚇っぽく)」 ……古典的伝承歌(サーガ)のワンシーンが今ここに!!? ……いや、いやいや。 ツッコミ所は多々あるものの、今問題にすべき点はそこではないだろう。 猛禽を模した拳法よろしく両手首を妙な角度で曲げつつ、大きく腕を広げて怪鳥の雄叫びを上げるルイズ様と。 獲物を狙う大蛇の如く犬歯を覗かせつつ、毒のある攻撃的な笑みを浮かべて舌をちろちろさせるキュルケ嬢と。 見事な怪獣映画の一幕が、目の前に展開されていた。 「…………はぁ」 我知らず嘆息。 流石にこれは、いくら口論がエスカレートしたとはいえ色々人として駄目っぽいので、事態の収拾にかかる。 「……あの、お二人とも。 いちおう授業前だと伺っておりますし、そろそろその辺で……」 「ア゙ァん!?」 「……なぁに、ミスタ。後にして下さる?」 ドスの利いた声でこちらに眼光を飛ばすルイズ様と、薄皮一枚下に溶岩の熱を蓄えた口調で応じるキュルケ嬢。 常人ならここで目を逸らしているところだが……これで萎縮しているようでは、執事という職業は勤まらない。 加速していく気の重さから目をそむけつつ、尚も取り成しに入る。 「お二人とも、朝からの忌憚ないご歓談のところを真に恐縮ですが……流石にこれ以上は貴族庶民以前に人としてどうかと思われましたので。 これから授業が始まるとのことですので、そろそろ人間の尊厳を取り戻されたほうが宜しいかと存じまして……」 「……そうね。あたしの二つ名が『微熱』とはいえ、流石に熱くなりすぎちゃったわ」 「まさかエルフに、人としてどうかって言われる日が来るなんて…………。 ふん! 命拾いしたわね、ツェルプストー」 「あら、そもそも『ゼロ』のあなたが、どうやってあたしを『命拾い』の段階まで追い込むのかしら?」 「ぐ……! あんた、まだ言うか……ッ!」 「まぁまぁ、ルイズ様……!」 さらにキュルケ嬢に食って掛かろうとするルイズ様を、どうどう、と言った具合にどうにか押し留める。 そんな我々の様子を、キュルケ嬢の足元から、心なしか相当居心地悪げに見つめている火蜥蜴。 ――お互い大変だなと、同情の視線を送りつつ、私はまたため息をつかざるを得なかった。 「はいはいルイズ、あなたの使い魔もこう言ってるんだし、ストップストップ……と。 それはそうと――リック、だったっけ?」 「はい、何でしょうか……キュルケ様?」 「ちょっと、だから人の使い魔に馴れ馴れしく――」 「それはもういいから。それはそうと、あなたここへ来てからずっと立ちっぱなしだけど……座らないの?」 「あ、そういえば」 キュルケ嬢の質問に、それまで過敏反応していたルイズ様も我に返り――私に疑問の眼を向ける。 「もしかして、使い魔だから?」 「まぁ、その辺『弁えてる』っていうなら分からなくもないけど―― 椅子とは言わなくても、床に腰下ろしてるぐらいならいいのよ? 「いえ、まぁ、使い魔だからという以前に…………私は、執事ですので」 「またそれ!? ……何でもかんでもそれで済ましてる気がするんだけど」 私の答えに、辟易したような表情をするルイズ様。 「……別に、それを逃げ口上にしているわけではございません。 執事とは常に主のそばに侍り、主のいかなる要求にも応え、どのような害からも主を護らねばならぬ存在。 あらゆる状況に即応せねばならぬ者として、立ち続けるのを辛いなど言っているようでは執事など勤まりませんので」 「は、はぁ……そうなの」 若干疲れたような表情で相槌を打つルイズ様に、キュルケ嬢がなにやら小声で耳打ちする。 「……ちょっとちょっと。あなた召喚してからのたった一晩で、こんなところまで彼に教え込んだっていうの?」 「ち、違うわよ……いくらなんでもわたしだってそんなこと知らなかったわよ! ただ、こいつ、わたしが召喚する前から執事やってたって言ってたし……」 「エルフの世界にも、色々あるのね……」 「こいつに限っては、特に変り種だと思うんだけど」 「……その点に関しては、ちょっと同感かも」 「……?」 首を傾げているうちに、教室内のざわめきに変化を感じ取る。そろそろ授業開始のようだ。 結局何を話していたかは分からずじまいだったが――まあ、気にしても仕方あるまい。 教壇側の扉が開き、教師役の魔法使いが入ってくる。 黒くて鍔の広いとんがり帽子を被り、同じく暗色で揃えたマントとローブに、ルイズ様と同じ形の、指揮杖のような小振りの杖。 ゴルトロックでも珍しくないような魔法使いの正装で身を固めた、小太りの中年女性だった。 「おはようございます、新二年生の皆さん。 今日から皆さんに一年間『土』系統の魔法を講義する、『赤土』のシュヴルーズです。 知っている子もいると思いますが、あらためてよろしく」 『よろしくお願いしまーす』と、型通りの生徒たちの挨拶。 それに優しく微笑み返すと、ゆったりと教室中を見回しながら、教師役の女魔法使いは口を開いた。 「皆さん、春の使い魔召喚は大成功だったようですね。 このシュヴルーズ、こうして新学期の始まりに、さまざまな使い魔たちを見るのが楽しみで――――あら」 のんびりと話しながら教室中を回遊していた彼女の視線が、ぴたりと、ある一点に固定される。 「……あらあら、ミス・ヴァリエール。あいにくだけど今は授業中ですよ? いくらこの魔法学院が貴族の学び舎とはいえ、こんなところまで執事の方を連れてくるのは……」 ……恐らく彼女としては、親離れならぬ使用人離れできない生徒を、事を荒立てぬようやんわりと注意したつもりだったのだろう。 だが―― 「あ、あら? どうしたのかしら、皆さん?」 女教師の予想に反し、張り詰め、静まり返り――さらに教室内の気温が一気に3度近く低下したような感覚。 その事実に動揺し、あちらこちらを向きつつ声をかけるも、誰も答えようとはしない。 それどころか生徒たちの顔には一様に、『余計なことを……!』とでも言いたげな、苦渋の表情が張り付いていた。 ――まるで先刻の、食堂の光景の焼き直しだ。 そう感じた直後――――女教師の視線の先にいた生徒が、口を開いた。 「違うんです、ミセス・シュヴルーズ! そうじゃなくって、彼は、その――――わたしの使い魔なんです!」 「へ? つ……使い魔?」 ルイズ様から告げられた返答に、目をぱちくりさせつつ。 まだ状況をよく理解できていないような様子で、教師――シュヴルーズも、私の契約主に聞き返す。 「使い魔って、その……彼がですか? でも、その方はどう見ても人間では……? ああ! あなたが呼び出してしまったのは、もしかして平民――」 「だから違うんですってば! わたしの使い魔は――――」 『得心した!』とでも言いたげな様子で手を叩き、己を納得させようとするミセス・シュヴルーズ。 だが次の瞬間――桃色の髪の少女は、予想外の言動に走った。 「あ、あの……ルイズ様?」 「いいから、ちょっとしゃがんで……!」 がたっ、と立ち上がるや否や、私の頭を掴み。 髪の側頭部――所謂もみ上げの部分をかき上げて、その下にあった部分を露わにしつつ、叫ぶ。 ――――人間よりも長く突き出している、私の耳を。 「ほら、見てください、これ! わたしの使い魔は――――エルフなんです!」 「……え? いや、その、でも彼………………ちょ、ええっ!!?」 シュヴルーズの表情が、ころころと変わってゆく。 ルイズ様の言葉に面食らい、そんな馬鹿な、とこちらを凝視して驚き―――― そして理解すると同時にみるみる青ざめ、ガタガタと震えだす。 「ひ、あ、いや、そんな、わが学院の生徒が、まさか、そんな…… え、エ、エル、エルフが、こここここんな……とこ……ところに……!?」 「あ!? いや、その……ま、待ってください!」 杖を取り落として、恐怖のあまり尻餅をつき、パニックに陥る魔法使い。 流石にその様を見てルイズ様もまずいと思ったのか、泡を食って声をかける。 「ひぃ! おた、をた、お助けぇ……! ミ、ミミミミ、ミス・ヴァリエール……あ、あなたも早くおに、おに、お逃げな……!」 「……あの、ミセス。確かに彼はエルフですけど――――でも違うんです! わたしの使い魔なんですから! 人を取って食べたりもしなければ、暴れたりもしないって言ってましたし!」 「彼女の仰るとおりです! 確かに私にはエルフの血が半分流れていますが―― 別に食人嗜好も、見境なしに人を襲うつもりもなければ、そのような魔法の持ち合わせもございません! ……誤解されがちなのでこの際重ねて申し上げますが、いちおう私はハーフエルフですので!」 ルイズ様のフォローに、それに添える形で私も言を付け加える。 きちんと届いているかは、正直疑問だったが―― 「へ? ほ、ほほ、ほんとう、な、なのですね? ミス・ヴァリエール? そ、そそ、そこのあなたの後ろのエルフの方……ほ、ほほ、ほんとうに、ひ、人を……」 「――ですから、私には無用な騒乱や危害を加えるつもりは毛頭ございません。 何でしたらこの場で“大いなる神(エル・アギアス)”に誓っても結構です」 「そ、そそそ、そ、そうなのですか……!? や、やや、や、約束でっ、でで、ですからね!?」 尚もガタガタ震える中年の女教師の目を見据えて、再度念を押す。 目を合わせた一瞬、さらに恐怖の色が膨れ上がったように見えたが……そこはなけなしの勇気と職業倫理を総動員したのだろうか。 がちがちと歯の根を鳴らしながらも、どうにか立ち上がろうとして―― 「……あ、あら?」 立てない。 同じ動作を二度、三度繰り返すも……結果は同じだった。 「こ、こ、腰が……!?」 ――抜けてしまった、ということなのだろう。 大丈夫ですか、と、ふと。 距離も考えずに歩み寄ろうと、反射的に身じろぎして―― 「ひ!? ひいいいいいいいい!!」 それを敏感に察知した教壇の上の中年女性が、抜けた腰を引きずりながら、ずるずると後ずさりする。 ……どう見ても、私を恐怖している。 先刻の我々の言葉で表面的には取り繕ってみたものの……その一枚裏では、この通りだったということか。 正直、教師が万事この調子では……まともな授業など望むべくもあるまい。 「………………」 「………………」 ――そこまで来たところで、先程味わった感覚がまた、容赦なく我々を撫でるのを自覚する。 「これは……」 「……ちょ、ちょっと。またなの!?」 ルイズ様も気づき、声を上げる。 先刻食堂で味わった、周囲からの無言の圧力。 ただ――今回は状況が状況だけに、より非難の色合いが濃くなったものだった。 「ちょ……待ちなさいよ、あんたら。 さっきわたしもこいつも、危害は加えないって約束を……!」 「……とりあえずあたしは信じてあげてもいいけどね、ルイズ」 「キュルケ!?」 慌てふためくルイズ様の機先を制するように、隣の席の赤髪の娘から声がかかる。 「ただ、実際問題――――あなたや彼の気持ちもわからなくもないけどさ。 ミセス・シュヴルーズがあのザマじゃ……流石にあたしとしてもこの場はフォローのしようがないわ。残念だけど」 「……っ! で、でも――」 キュルケ様の言に、ルイズ様も先刻の二の舞にはなるまいと、抗弁しようとするが――言葉が出ない。 彼女も、本当のところ分かっているのだろう。 “このままでは”、正常な授業の続行など不可能だということを。 「……致し方、ありませんか」 「そのようね」 ため息をつきながら、頷きあう私とルダ。 ――この状況で我々が選べる選択肢は、つまるところこれしか無いか。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! また、そんな勝手なこと……!」 いかにも納得いかないという表情で、食い下がる契約主の少女。 彼女を私としても不本意な内容で説得するのは、随分と疲れる作業になりそうだった――――。 前ページ次ページBullet Servants
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セバスチャンかっこいい! - chiha 2010-08-12 14 45 20
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直近の元ネタは、イギリスの新国旗のアイデアから。 英国労働党のある議員の「イギリスの国旗にウェールズ国旗の赤い竜も取り入れるべき」という発言を受け、 イギリスの有名新聞「デイリー・テレグラフ」が新しい国旗のデザインを募集した事がきっかけ。 しかし応募されたデザインの大半が日本の2ちゃんねらーが製作したアニメを元にしたネタ画像であり、 これを受けた同紙の記事では2ちゃんねるの熱狂ぶりを若干失笑気味に書いている。 この投票で2位に輝いたのがアニメ「ゼロの使い魔」のヒロイン・ルイズがイギリスの国旗を手に、 ウェールズの赤い竜に乗ったイラストである。 ニコニコRPGでは34話でこのルイズを乗せた赤い竜がラストダンジョンに登場。 ドラゴンつながりでファイナルファンタジーシリーズ最強の召喚獣・バハムートの「メガフレア」を放ってくるなど、 ラストダンジョンにふさわしい超強敵として登場する。 【対策】(オワタ、喰われを除く) HPが高く防御力 精神力がそれなりにあるので生半可な攻撃では倒せない。更に強力な全体攻撃を持っているかなりの強敵。 メガフレア、ドラゴンブリザード、虚無の魔法と3つも全体攻撃を持ち、特にメガフレアは1撃で全滅しかねない超威力。さらに、無属性なので耐性を付与して軽減することも出来ない。 虚無の魔法はさほど威力は無いものの吹き飛びの追加効果が厄介。だがたまに失敗する。 また怒鳴りによって釘宮病が発症してしまったらすぐに治そう。 捕縛などの行動不能系の状態異常で責めるのがいいだろう。減衰や倦怠も有効。 ステータス MHP MMP 攻撃力 防御力 精神力 敏捷性 経験値 所持金 5600 10 320 380 400 120 5900 2400 ○________ なぎはらえー | |\\ ||. .|| //| /イ | l\\\||. .|l///| ./// __ ィ ,. -――- 、 | | 二二二二二二二 !// / / ∟/ \. | l///||. .|l\\\|/ / / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ | |// ||. .|| \\l / ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V | | ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / ! ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l. \\_____ivvvvvvvv| V. ( ( /Tえハフ{ V ‐一 '´ / __. -―=-` / / l l \! | / 入_.V/| >-ヘ \ ∨ ∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l __ |\ l/V _{_____/x| (_| __ノ }ィ介ーヘ / ,.-‐ ' ´ / ____  ̄ ̄フ ∧ l )-ヘ j ̄} /| /___/xx| _Σ___/| | |V ノ/ ∠___ { / `< / \| { V /`7. /___./xXハ ( | ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈. \_ |/ /___l XX∧ __≧__ / ∧/ `丶、 / { {____ハ } | ヽ /____|ⅩⅩ∧ __|__L.∠ ム' <`丶 、 `丶、 / \_____/ / | ', { |ⅩⅩⅩ ' __ ∧ l\ \ 丶、 ` 、 ∠ -――- ..____ノ / ノ } l ̄ ̄ ̄.|Ⅹ ' ,. '  ̄ / .// / V' \ ヽ `丶\/ / / ∧ { \ | .| ' / // / / ', l \ ヽ ,.-――┬ \ / 入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l / l l \V ヽ \ ,. '´`ー′ \ `< | { / | /〃 |/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` < \ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶 \ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \ ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_ ', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } | V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j { / ./ ∨ __  ̄ ̄ -</ / ̄ ̄ 廴ノ ' <ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ / Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ { ∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_ ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{> ※「なぎはらえー」というセリフは、宮崎駿のアニメ映画「風の谷のナウシカ」の終盤で、女王クシャナが巨大生物兵器「巨神兵」(当たり前だがオベリスクのほうではない)を使役して敵の群れを破壊光線で一掃しようとしたシーンが元ネタ。 動画⇒★13 18~ この、バカ犬ー!!! ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 08年7月には3期目のアニメ版も制作された人気ライトノベルシリーズ「ゼロの使い魔」のメインヒロイン。 「貴族なら魔法が使えて当然」という作品世界にあって、ルイズは名門公爵家の出身ながら全く魔法の才能(*1)を示せず、 「ゼロのルイズ」という蔑称をつけられていた。 しかしストーリーのある地点から伝説の魔法といわれる程希少な「虚無」の属性の持ち主である事が判明し、それに因んだ魔法を身につけるようになった。 ニコニコRPGではこの「虚無」の魔法を会得?(?の理由は後述)した状態で登場。 RPG本編でルイズが使用する「虚無」の魔法には吹き飛び属性がある事が確認されている。ただし時々失敗するようだ。 これは、劇中でルイズがしばしば魔法を試みては失敗し、意図せず派手な爆発を起こしてしまう(*2)ことからきているのだろう。 なお彼女は作中にて主人公であり彼女の使い魔である「平賀才人」に対し 好意を抱いているにもかかわらず素直になれないという典型的なツンデレキャラとして描かれており、 アニメ界においてもツンデレの代表格として崇められている。 なお彼女もまた貧乳をステータスとするキャラである(ただし本人はそれをコンプレックスにしている)。 中の人は釘宮理恵さん。彼女はルイズ以外にもツンデレキャラを多数演じている事から 彼女自身もツンデレ声優として人気。 彼女の声に魅せられた者は「釘宮病」の患者として病気認定されている。 その流れでニコニコRPGでも「釘宮病」の状態異常を発症させる。 関連動画 ちなみに「ドラゴンの技の効果が某うんこゲームと被った」という作者のコメントがあるが、 これは特定のゲームをけなしているわけではなく「うんこが漏れないように我慢しながらトイレへ向かうゲーム」のことだと思われる。 とはいっても、うんことドラゴンに直接関係があるわけではなく、なぜか当該動画の後半から始まるルイズやシャナとの脱衣バトルの方であろう。 こちらでも、ルイズやシャナのセリフによりパーティが釘宮病にかかっている。
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前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 「……これは……なんということだ」 夜闇のニューカッスル上空。高度6000メイルの高空に、風竜に騎乗し、 漆黒の装束に身を包んだ一人の竜騎士がいた。 彼の名はギンヌメール伯爵。トリステイン王国竜騎士隊第2大隊の隊長である。 トリステイン王国の航空戦力でも唯一『風の門』付近まで達する高高度と、 風竜以上の速度を想定した高速度の敵に対応できる訓練を積んだ彼の部隊は、 銃士隊隊長アニエスがラ・ロシェールに派遣された直後に極秘裏に アンリエッタ姫よりニューカッスルの強行偵察を命じられていた。 そこで、隊長である伯爵自らが将校斥候として先頭に立っていたのだった。 逆を言えば、彼を含め数人の騎士くらいしか、この任務を無事達成できる 見込みがなかったとも言える。 ガリア南薔薇騎士団による埋葬が昼夜の別なく行われているそこは、 真夜中でもあちこちで埋葬の炎が灯っている。『遠見』の魔法により 天幕に描かれた交差する二本の杖――ガリア王国の紋章を確認した伯爵は、 炎に照らされた消し炭となった骸たちの多さに、思わずうなる。 「姫殿下のおっしゃったことは事実だったか……。しかし、これは……。 タケオ、まさか、これはお前の国の兵器のなせる業か……?」 伯爵の問いかけに答えるものはいない。高高度強行偵察を成功させた 伯爵は、発見されないうちに騎竜の翼をトリステインに向ける。全速で 飛ばせば一日もあればトリスタニアに到着する。この情報を早く届けねば……と、 そこまで考えたとき、思考よりも先に体が手綱を引いていた。目の前を 火線が通過する。そこに、上空から悪魔のような囁きが聞こえた。 「……へぇ。ボクの攻撃を躱すなんて……ナマイキ」 伯爵は振り返ることもせず、騎竜を一気にダイブさせる。 幸いニューカッスルはアルビオン浮遊大陸の端にある。浮遊大陸の地表 ぎりぎりまでジグザグ降下し、そこからさらに海上まで一気に高度を落とす。 ニューカッスルにいる南薔薇騎士団には発見される危険性があるが、 生還できなくては意味がない。風竜が悲鳴を上げるが、それでも伯爵は 手綱を緩めない。 「もう少しだ、シャルル!こらえてくれ!」 伯爵が海上に達したとき……彼を追ってくるものはなかった。 朝靄のラ・ヴァリエール城。その前庭に竜籠が降り立つ。アンリエッタ姫が 愛用しているような、また魔法学院に備え付けられているようなアルビオン産の 深紅の絨毯ではなく、トリステインの伝統的な緋毛氈が竜籠の扉の入り口まで 敷かれ、籠の中から降りてきた初老の貴族を迎える。 ラ・ヴァリエール公爵。年の頃は五十を過ぎ、白くなり始めたブロンドの髪と 口髭を揺らし、王侯もかくやとうならせる豪華な衣装に身を包んでいた。 その左目には片眼鏡が嵌り、鋭い眼光をあたりにまき散らせている。 つかつかと歩く公爵に執事が取り付き、帽子を取り、髪を直し、着物の袷(あわせ)を 確かめる。公爵は渋みがかったバリトンで「ルイズは戻ったか?」と尋ねた。 その言葉に、長年ラ・ヴァリエール家の執事を務めているジェロームは、 恭しく一礼すると、「昨晩お戻りになりました」と答えた。 「朝食の席に呼べ」 「かしこまりました」 ラ・ヴァリエール家の朝食は、日当たりの良いこぢんまりとしたバルコニーで 取るのが常である。その日もテーブルが引き出され、陽光の下に朝食の席が しつらえられた。上座にラ・ヴァリエール公爵が腰掛け、その隣に夫人が並ぶ。 そして珍しく勢揃いした三姉妹が、歳の順番にテーブルにつく。 ルイズは昨夜ほとんど寝ていないためふらふらの体である。その横で カトレアがいつもより体調が良さそうに見えるのとは対照的。 なお、ふがくはこの朝食の席には参加していない。招待されなかったと いうのが一番の理由だが、カトレアに誘われたときにも、特に感情を込めず 「久しぶりなんだし親子水入らずで楽しむのもいいと思うけど」と言った その言葉を、ルイズが内心恨めしく思っていた。 公爵は、かなり機嫌が悪い様子だった。 「まったくあの鳥の骨め!」 開口一番。公爵は枢機卿をこき下ろす。その言葉に、夫人は表情を 変えずに夫に問うた。 「どうかなさいましたか?」 ルイズはいつ自分に御鉢が回るか気が気でない。けれど、父が枢機卿と 会ったのは、自分が王宮を辞してからだったようだ。もし王宮で顔を 合わせていたらと考えると、そのまま卒倒してしまいそうになる。 「このわしをわざわざトリスタニアに呼びつけて、何を言うかと思えば…… 『一個軍団編成されたし』だと!ふざけおって!」 「承諾なさったのですか?」 「するわけなかろう! すでにわしは軍務を退いたのだ。わしに代わって兵を率いる世継ぎも 家にはおらぬ。何より、その理由が気に食わぬ!」 「理由とは?」 夫人はあくまで表情を変えない。その様子に、公爵はやや気持ちを 落ち着かせた。 「うむ……鳥の骨が言うには、三日前、アルビオンのニューカッスルにて 王党派の最後の反撃が行われたらしい。すでに簒奪者どもが公表したように、 その戦いでテューダー王家は滅亡したというのだが……。 鳥の骨め、何が『その戦いで貴族派は五万の陸兵と二隻の軍艦を失い、 旗艦を含む敵主力艦隊も大破した』だ。たった一隻の戦列艦しか持たぬ 王党派にそのようなマネができたなど信じられるものか!しかも貴族派の 再編成が完了する前に一気にロンディニウムを陥落させ王権を復興するなど、 何を馬鹿なことを!」 テーブルを叩く公爵。ルイズが真実を話すべきかおろおろし始めたとき、 カトレアがそっとテーブルの下でルイズの手を握った。 「なるほど。でもよいのですか?祖国は今、一丸となって仇敵を滅すべし、 との枢機卿のお触れが出たばかりではありませんか。ラ・ヴァリエールに 逆心あり、などと噂されては、社交もしにくくなりますわ」 そうは言いながら、夫人はずいぶんと涼しい顔をしていた。 「あのような鳥の骨を『枢機卿』などと呼んではいかん。骨は骨で十分だ。 まったく。あまつさえ、鳥の骨は姫殿下に速やかなる即位まで進言しておる。 それに加えアストン伯などトリステインに逃げおおせたアルビオン王党派残党の 庇護を引き受けてまで鳥の骨に賛同しておる有様。そのようなことをせずとも、 アルビオンなど、空域封鎖で干上がらせればなんの問題もなく陥落するわ!」 違う――それまで黙っていたルイズが、わななきながら口を開いた。 「と、父さまに、伺いたいことがございます」 公爵はルイズを見つめた。 「いいとも。だが、その前に、久しぶりに会った父親に接吻してはくれんかね。 ルイズ」 ルイズは立ち上がると、ととと、と父に近寄り、その頬にキスをする。 それからまっすぐに父を見つめ、尋ねた。 「どうして父さまは枢機卿のお言葉が嘘だと思われたのですか?」 「常識的にあり得ないからだ」 「王党派に援軍が現れたとか、新しい武器を使ったとか、お考えにならないの ですか?」 「どこの国が援軍を差し向けたと言うのだ?それに……いいか?」 公爵は皿と料理を使って、ルイズに説明を始めた。 「『攻める』ということは、圧倒的な兵力があって初めて成功するものだ。 王党派は三百。貴族派は五万。それに艦隊支援もある」 かちゃかちゃと器用にフォークとナイフを動かし、公爵は肉のかけらで 軍を作る。 「攻める軍は、守る側に比べて三倍の数があってこそ確実に勝利できる。 これほどの戦力差、もはや三倍どころの話ではないことが分かるだろう?」 「でも……」 公爵はルイズの顔を覗き込んだ。 「これほど戦力差が開いては、たとえどんな新兵器を投入したとしても、 勝敗は覆らないのだ。そして、それは我がトリステインがアルビオンを 攻めるとした場合にも言えるのだ。我が国がゲルマニアとの同盟を果たしたと して、その兵力は六万にしかならぬ。それで、もし攻めて失敗したら なんとする?その可能性は低くないのだ」 ルイズはここにふがくがいないことが悔しかった。父の言うことは正論だ。 ハルケギニアの常識の範囲では。だが、ふがくやルーデル、それに敵として 襲ってきたあの双子のような『鋼の乙女』は違う。もしかすると、枢機卿は ふがくを見たからこそ、先手を打つことを考えたのかもしれなかった。 「父さま……」 公爵は、そこまで言うと立ち上がった。 「さて、朝食は終わりだ」 ルイズはぎゅっと唇をかみしめて、たたずんだ。 「ルイズ。お前には謹慎を命ずる。しばらくこの城で頭を冷やすことだ。 わしが良いと言うまで、この城から出ることは許さん」 「待って!」 ルイズは叫んだ。公爵は震えながらも自分をまっすぐに見つめる娘に 正面から向かい合った。 「なんだ?話は終わりだと言っている」 「ルイズ……?」 エレオノールが、もう止めなさいとばかりにルイズの裾を引っ張った。 カトレアも、そんなルイズを心配そうに見ている。 「……わたしなの」 「何?」 「わたしが命じたの!ふがくに、五万の敵を焼き払えって……!」 ルイズは顔を上げた。その顔は涙で濡れている。 「ルイズ!?あなた、何を言っているの!?」 エレオノールが信じられない顔をしている。 「ねえ、父さま。父さまは、黒い雨に打たれたこと、あります? 人がいっぱい燃えると、その後に黒い雨が降るの。 でも……、その雨でも、ふがくが放った火は消えなかった!ふがくが 爆弾で区切った中に、燃えるものがなんにもなくなるまで!」 その言葉で、公爵の目の色が変わった。夫人も、エレオノールも。 カトレアだけが、そんなルイズを慈しむような目で見ている。 公爵は、ルイズの前に向かうと、膝をついて娘の顔を覗き込んだ。 「……お前、一体何をしてきたのかね?」 「ルイズ、まさか……姫殿下のお願いって……」 エレオノールが両手で口元を押さえながら言った。こくりと、ルイズは頷いた。 そして、ゆっくりと話し始める。 「わたし、姫さまのお願いで、アルビオンに行ったわ。そのときにギーシュ…… ミスタ・グラモンにも話を聞かれちゃったから、ふがくに一緒に連れてって もらって。 姫さまの密書を皇太子さまに渡して、手紙を受け取って……それで帰れば よかった。でも、姫さまの密書には絶対皇太子さまの亡命について 書かれているって思ったから、亡命してもらうために、ふがくと、 途中で一緒になったルーデルに敵を焼き払えって……命令したの。 ……でも、あんなつもりじゃなかった、間違ってたって気づいたけど、 中止させられなかった。わたし……なんであんなこと言っちゃったんだろうって……」 公爵はルイズを抱きしめた。力強く、無言のまま。 誰も一言も言葉を発しなかった。そうしてしばらく時間が経ち…… 公爵は立ち上がる。 「……わしは、王家に杖を向けなければならぬかもしれぬ。 これはグラモン元帥も同様であろうな。ジェローム!」 公爵の言葉に、「はっ!」と執事が飛んできて、公爵の脇に控える。 「『フガク』とか言ったな。その者は今どこにいる?」 「父さま。『ふがく』ですわ。あの子なら、あの尖塔の上に」 そう言って、カトレアは昨夜ふがくが昇った城で一番高い尖塔を指さす。 「あの子はわたしたちが一番理解しやすいものにたとえればガーゴイル……。 とはいえ、それは単純にわたしたちが理解しやすいものというだけで、 普通に感情を持ち、そればかりか祖国では士官と同じ扱いを受けていると 聞きました。それなのにわたしたちがあまりに酷い扱いをするのですもの。 だから昨日の夜からずっとあそこに。朝食にわたしが誘ったんですが、 招待されていないからって……」 「カトレア。それについては昨夜新しい部屋を用意させたはずですが?」 夫人の言葉に、カトレアはゆっくりと首を振る。 「母さま。これがたとえばガリアの士官、ロマリアの神官に同じことを したとして、ただ部屋を替えた、それで許せ……となるでしょうか? 確かに、あの子はガーゴイルのような存在で、ルイズの使い魔として 召喚されました。でも、元の国でそれなりの扱いを受けていたものを、 遠い国に召喚され、使い魔にされたからといって、下僕以下に扱って よいとは、わたしは思いません」 「むう……」 うなる公爵。カトレアはさらに続ける。 「それに、ルイズの言葉も嘘ではないと思います。実際に、わたしは 昨晩ふがくと一緒にルイズが見たのと同じ、『風の門』を越えた向こう、 二つに分かれた空を見せてもらっていますもの」 「でも、カトレア!どう考えても、たった一晩で魔法学院からアルビオンへ たどり着くなんて……国で一番速い風竜でも無理よ!」 エレオノールの言葉に、カトレアは再び首を振る。 「ふがくの速度は、わたしを気遣ってくれても竜籠が馬車に思えるくらい。 とっても速いのよ、姉さま」 「……『風の門』の向こう側。あなたたちはそれを見たというのね? カトレア。ルイズ」 そう言って夫人はカトレアとルイズを見る。その目には娘を心配する 様子がありありと見えた。 「……カトレア。『風の門』を越えたとき、気分はどうでした?」 カトレアは一瞬質問の意味を量りかねた。だがそれが自分の体調を 聞いているのではないと判断し、こう答えた。 「少し空気が薄くなった感じはしましたけれど、暖かく、晴れ晴れとした 気分でした」 「ルイズは?」 「わたしは……ただ空が美しいって思って……。でも、特におかしな ところはありませんでした」 夫人はしばらく瞑目する。そして静かに言った。 「……『風の門』に達する時点で、すでに魔獣や幻獣が飛ぶための魔力は 乏しくなり、鍛えた者でなければ息をすることも苦しい状態になっている はずです。それに『風の門』の正体は、東に向かって荒れ狂う乱気流 ――フネですら、あっという間にバラバラになってしまうほどのもの。 ましてその先に達すれば、体は凍り付き、口や鼻、耳から血を吹き出し、 意識を失いかねません」 「ふがくもそんなことを言っていましたわ。でも、自分と一緒にいるから 大丈夫だと」 カトレアの言葉に、夫人は視線を尖塔の上にいるふがくに向ける。 そして、言った。 「わたしも興味がわいてきました。それに、家を預かる者として、他国の 士官待遇を受ける者への非礼は詫びねばなりません」 それからまもなく。ふがくがカトレアとルイズに呼ばれてバルコニーに 降り立ったとき――そこに予想もしなかった来客が訪れる。 「……ワルド子爵か?一体何事だ」 公爵は無礼を承知でバルコニーに舞い降りたグリフォンに騎乗する 貴族の名を呼んだ。 ワルドは公爵夫妻に無礼を謝罪すると、居住まいを正した。 「アンリエッタ姫殿下よりの伝言をお伝え致します」 「姫殿下の……?」 そう言ったのは公爵夫人。魔法衛士隊の一角であるグリフォン隊の 隊長自らが急ぎやってくる事態など、ただ事ではない。 「はい。すでにご承知のことかと思われますが、先日、ルイズが姫殿下に 報告したニューカッスルの件で、姫殿下は銃士隊を脱出した王党派を 救助したフネが帰港したラ・ロシェールに向かわせた直後、竜騎士隊 第2大隊にニューカッスルの強行偵察を命じられました。 その結果、ルイズの言っていたことが証明され、王宮にて緊急臨時閣議を 開くべく諸侯の招集を命じられました」 「なんだと?では、鳥の骨はわしに軍編成を要求する前にルイズに会って いたというのか?」 公爵の言葉に、ワルドは短く「はい」と答えた。 「ニューカッスル城郭の周辺は、城郭が無傷なことが信じられないほどの 有様だったとのこと。また、ガリア南薔薇騎士団がニューカッスルにて 救護活動を行っていることも判明。 今回の件、枢機卿猊下ではなく姫殿下自らが先頭に立つご様子です。 閣下、急ぎ王宮へ」 「わかった。ジェローム!」 公爵は執事を呼び、竜籠の用意をさせる。慌ただしく公爵が王宮に 向かった後、それを見送ったワルドに夫人が話しかけた。 「ご苦労でした。ワルド子爵。あなたもずいぶんと出世したものね」 「いえ。今回はルイズのおかげです。そうでなければ、僕がまだ王宮で 何かできるような立場にはありません」 その言葉には嘘があった。確かにアンリエッタ姫は竜騎士隊に強行偵察を 命じた。しかし、平行してシンからニューカッスルの状況に対する報告は 受けていた。アルビオンに潜入していたエージェントは、シンだけではない。 ニューカッスルから脱出した貴族にも、テューダー王家につながる アンリエッタ姫に協力する者はいたのだった。そして、ワルド本人も、 今は『ゼロ機関』のエージェントとして動いていた。 「ですが、こうなれば……ルイズの言葉を信用しないわけにはいきませんね」 そう言って、夫人はふがくに向き直る。そして、頭を下げた。 「今回の非礼、誠に申し訳なく思っております。できれば、あなたが 国に戻られたときにも、ラ・ヴァリエール家、いいえ、トリステイン 王国が敵意を持って迎えたとは思わないでいただきたいと思います」 「私がお上にそんな報告をすると思っているのかしら?見くびられたものね」 「ふがく!」 ルイズが声を上げる。それをカトレアが押しとどめた。 「そんなことよりも、昨日のあの敵意むき出しの視線、そっちの理由が 知りたいわね」 ふがくは礼を失しない程度に冷ややかな視線を公爵夫人に向ける。 だが、公爵夫人はそれを意にも介さず言う。 「あなたとルイズが、ともに死と硝煙の臭いをまとっていたからです。 娘の使い魔とはいえ、娘に害をなすのであれば捨て置くことはできません。 ですが、先程娘から聞いた理由があれば納得もできます」 そう言って、公爵夫人はふがくに視線を向ける。その視線も刃のように鋭い。 二人の間に飛び交う視線に、ルイズは冷や汗を垂らした。 「……な、なんでこうなっちゃうのよ……」 「ふがくの態度も警戒心が強くなっちゃってるわね。わたしと話して いるときはそうでもなかったのに」 カトレアがルイズの横で困ったような顔をする。二人の後ろから、 エレオノールが溜息混じりに言った。 「……わたしと話していたときにも警戒されていたけどね。おちび、 あなたと一緒にいるときもあんな感じなの?」 ルイズがふるふると首を振る。 「確かに最初は……。でも、それはわたしの方にも問題があったからだし。 今はそんなことなかったのに」 ふがくと公爵夫人、二人の緊張に割って入ったのが、誰であろうワルドだった。 「まあまあ。カリーヌ様。ここは穏便に。 ふがく君も、別にラ・ヴァリエール家の人間と事を構えるためにここに いるわけではないのだろう?」 ワルドの言葉に、今にも杖を抜きかねない雰囲気だった公爵夫人の 刃のような気配が霧消する。ふがくも、完全に警戒を解いてはいないが、 それでもそれまでの殺気立った雰囲気は消えてなくなっていた。 「……ふふ。ジャン坊やの前で、大人げなかったかしらね」 「まぁ、私も別に……」 互いに見えない矛を納めた様子にほっと胸をなで下ろす三姉妹。 それを確認してから、ワルドが言う。 「カリーヌ様は、つまりふがく君がルイズに害を与える存在ではないと 確認できればよろしいのですよね?」 公爵夫人は無言で頷く。 「ふがく君も……まあ、この行き場のない気持ちは晴らせたらいい……かな?」 「閣下の考えが見えないわね。何が言いたいわけ?」 やや不審げな視線をワルドに向けるふがく。ワルドはそれを気さくに 笑ってみせる。 「僕に妙案があるんだ。聞いてもらえるかな?」 ワルドの『妙案』に、当事者である公爵夫人とふがくのみならず、 三姉妹も驚きの声を上げた。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)